『野菜教室』 レポート
春爛漫☆タケノコだより
●日時 2010年4月7日(水) 13:00~15:00
●場所 大阪教室
●講師 合田 典子 先生(野菜ソムリエ)
今回の野菜教室は、春の味覚を代表する食材、「タケノコ」について勉強します。
レクチャーして下さるのは、野菜ソムリエの合田 典子先生です。
合田先生は、香川県に住みながら、ご実家(愛媛県大洲市)の農業の仕事をされています。
これから、どんなお話をされるのでしょうか。楽しみです。
■野菜ってなに?
野菜→「食べられる植物」のこと。
日本の家庭で日常的に利用されている野菜を整理してみましょう。
日本国内で出回る野菜のうち、特に消費量の多いものを「指定野菜」といいます。
※指定野菜
農林水産省により、一年中安定して供給するために、全国各地に産地が指定されており、
現在、14品種が定められています。
指定野菜の価格が著しく安くなった場合には、来年も野菜を作ってくれるように指定産地の農家に、
補てん金を支払う制度もあります。
ここで質問タイム!
『この指定野菜、14品種すべて答えて下さい。』
一つも間違いなく答えられるかちょっぴり不安…。
と思っていたら、やさしい合田先生は、
葉菜類(5種類)、果菜類(4種類)、根菜類(5種類)です。
と、ヒントを出してくれました~。ひと安心です。
正解は…
葉菜類 : キャベツ・ハクサイ・ホウレンソウ・レタス・ネギ・タマネギ
果菜類 : トマト・ナス・ピーマン・キュウリ
根菜類 : ダイコン・ニンジン・ジャガイモ・サトイモ
続いて、野菜を、緑黄色野菜、淡色野菜、いも類、まめ類に分類しました。
☆緑黄色野菜…可食部100gあたりのカロテンの量が600㎍以上のもの。
600㎍未満でも、トマトやピーマンなどは、食べる量や食べる回数が多いため、
緑黄色野菜に含まれます。
ところで、カロテンとカロチンの違いって?
カロテン(Carotene)は英語、カロチン(Carotine)はドイツ語だそうです。
どちらもよく聞きますが、それだけの違いのようです。
☆淡色野菜…緑黄色野菜に含まれない野菜。
☆いも類…植物の根、または根茎に貯蔵栄養素を豊富に含むもの。
根が肥大したものに、サツマイモ、ヤマイモ、
茎が肥大したものに、ジャガイモ、サトイモなどがある。
☆まめ類…マメ科の植物の種子で、乾燥した種子を利用する場合と、若い未熟なさやや種子、
その両方を食用とするもの。
またまた質問!
突然ですが『ヤーコンって何に分類される?』
正解は…
「淡色野菜」に分類されます。
一見、その形状から「いも類かな?」と思いますが、キク科の根菜です。
原産は、南米アンデス山脈地方。
生で食べると、梨に似たシャキシャキとした食感で、サラダに使われたりするほか、
炒め物、煮物などに使われます。
甘味はフラクオリゴ糖により、血糖値改善や、整腸作用が期待されます。
■果物ってなに?
果物→「木本性植物から収穫されるもの」
※イチゴやスイカなどは、草本性植物から収穫されますが、食習慣上「果物」と扱われます。
ここで、また質問タイムです。
「果物と栄養」について、5問出題されました。
(第1問)
抗酸化作用があり、鉄の吸収促進やがん予防、抗ストレスなどの効果が期待されていて、
水溶性で、加熱に弱く、生のまま食べられる果物で摂ると効果的な栄養素は?
正解は「ビタミンC」
(第2問)
果物は甘いから糖分が高く高エネルギー? ○ or ×
正解は、「×」
果物は甘いからといって、高エネルギーではない。果物が甘く感じるのは、果糖によるもの。
果糖は砂糖の1.15~1.73倍ぐらいの甘さを感じますが、エネルギー量は、
他の糖と同じ、1gあたり4kcalです。
また、果物は水分がほとんどで、脂質が少ない為、100gあたりのエネルギー量は50kcal程度です。
(第3問)
高血圧や脳卒中などの脳血管疾患と深い関係がある食塩(ナトリウム)の排出を促す効果がある栄養素は?
正解は「カリウム」
カリウムは熱を加えると、30%ぐらいの成分が失われる。
また、干しブドウや干し柿は、生果の時よりカリウムの量が増えます。
(第4問)
便秘予防や老廃物の排出・腸内環境の正常化に効果的なものと、血中コレステロール値の調整を
おこなう2種類がある栄養素は?
正解は「食物繊維」
食物繊維は、果物に含まれるペクチンに代表される「水溶性食物繊維」と、
穀物、野菜などに含まれるセルロースに代表される「不溶性食物繊維」とがある。
(第5問)
果物を食べたときに感じる酸味の総称は何?
正解は「有機酸」
有機酸には、かんきつ類に多く含まれるクエン酸、リンゴに多く含まれるリンゴ酸、
ブドウに多く含まれる酒石酸、などがある。
そんな野菜や果物の基礎知識のお話の後に、各人ベジフル生活を振り返り、
一日の野菜・果物の摂取目標量に達しているか、グループでディスカッションしました。
摂取目標(野菜350g、果物200g)に達している方も、そうでない方も、
健康な生活を送るために、野菜や果物を積極的に食べるように心がけましょう!
次は、お待ちかねのタケノコのお話です。
■タケノコについて
まず初めに、合田先生オススメのタケノコ料理の試食が出されました~。
今日のメニューは、「たけのこスパゲティー」です。
鶏ガラスープで味付けられたスパゲティーを、サクサクとした歯ごたえのたけのことともに、
まさに春を感じながら、美味しくいただきました。
ごちそうさまでした!
この他に、タケノコのレシピをもう一つ紹介していただきました。
その名も「たけのこカレー」です。
作り方は普通のカレーと一緒。
じゃがいも、にんじんと同じタイミングで、タケノコを入れる。
(タケノコは繊維質なので、他の具材より少し小さめに切りましょう。)
レシピ紹介の後は、タケノコの基礎知識についてのお話です。
竹の地下茎から出てきた若芽を「タケノコ」と呼びます。
※竹や笹は、都会から少し離れた場所でもごく自然に見かける植物で、
日用品や庭木などにも利用されている身近な植物。
合田先生に、竹炭や、お茶の道具である、茶筅などを見せていただきました。
・原産地
西南アジア・インド・ヨーロッパ
・主な種類
孟宗竹(モウソウチク) 3~5月
淡竹(ハチク)、真竹(マダケ) 5~6月
孟宗竹は、最も味が良く、タケノコの代表格。皮に茶色の毛が生えているのが特徴。
淡竹は、皮は赤紫色、茎は淡い緑色で白い粉をふく。淡白な味。
真竹は、皮に毛がなく、バナナのシュガースポットのような黒い斑点があるのが特徴。
皮は、おにぎりを包んだりして、食品包装などに用いられる。
ここで、「穂先タケノコ」の説明がありました。
穂先タケノコとは、2メートルほどに伸びたタケノコの先端部分のこと。
掘って取るより収穫が楽な上、穂先を切った後のタケノコは枯死するため、
放置竹林の拡大防止にも効果的。えぐみが少なく、おいしく食べられる。
・調理方法
「朝掘ればその日に食べろ」と言われるほど、鮮度が命。
地表に出ていないもので掘りたてのものは生でも食べられるが、販売しているものは、
購入したら、すぐに下処理を行う。
① 皮つきのまま、先端に大きく斜めに切りこみを入れる。
② 皮つきのまま、「ぬか」や「米のとぎ汁」で、水からゆでる。
③ 沸騰したら、弱火にして約1時間ゆでる。
④ 根元に串が通るようになれば火を止め、そのまま冷やす。
・保存方法
下ゆでしたものは、水に浸して冷蔵庫で保存。
そのまま冷凍すると繊維がこわれるため、小さめに切ったものを煮て味付けすると冷凍しても食べられる(冷蔵庫で解凍し温めなおす)。
・栄養
不溶性食物繊維のセルロースが豊富で、便秘解消に効果的。
カリウムが多く、塩分の排出を促す。
うまみ成分のグルタミン酸、アスパラギン酸も含む。
ゆでタケノコを切った時に見られる白い粉は、アミノ酸の一種のチロシン。
チロシンを摂取すると、脳内物質のドーパミンが増加する為、気力アップの効果が
期待できる。
続いて、日本の四季についてのお話です。
■日本の四季を楽しもう
お正月飾りの「橙」は…
橙の実は、成熟しても落ちにくく、冬を越すと夏には緑色にもどり、冬にまた橙色に熟します。
そして、新しい実とともに二年も三年も同じ木に見られることから、代々(だいだい)となって、
繁栄長寿の縁起物となっているそうです。
七草粥に入っている「ナズナ」は…
七草粥を食べるのは、お正月のごちそう三昧で疲れた胃を整え、無病息災を願うため。
この七草に入る「ナズナ」は、最近では花屋さんでも見かけるそうです。
それから、花蕾がサンゴに似ている「ロマネスコ」も花屋さんに置いてあるそうです。
花屋さんに置いてあるって意外ですね。知りませんでした~。
春野菜の「ナバナ」などは…
ひな祭りの時のちらし寿司に入っている、ナバナなどの春野菜は、
解毒作用があり、新陳代謝を活発にする働きがあります。
お盆のおもてなしの…
キュウリ馬には「早く帰ってきて下さい」、ナスビ牛には「ゆっくりお帰り下さい」の願いが
込められているといわれます。
お月見は…
江戸時代ごろから、今年の収穫を祝い、また翌年の豊作を願っておこなわれました。
十五夜には、十五個のお団子と、新しく収穫されたサトイモ、ススキなどをお供えします。
などなど、四季折々のお話をしていただきました。
四季の移り変わりとともに、色々な行事を楽しんで、野菜や果物を色々な角度から
楽しみましょうということでした。
最後に、合田先生が携わっている農業の風景写真を見せていただきました。
野菜だけでなく、果物もたくさん栽培されています。
今日は、果物を中心に写真を選んでいただいたそうです。
ブドウ、柿、モモ、あけび、ナタマメ、ゆきのした、どくだみ、お茶の花、バナナなど
とっても広い農場のようです。
写真の後には、地元で収穫された珍しい野菜を3つ、紹介していただきました。
①プンタレッラ
私は、今日初めて見ました。緑色が鮮やかです。
[キク科] 原産地はヨーロッパ。
チコリの一種で、「プンタ」というのは「尖った」の意味で、尖った「とう」の部分を食用にする。
中は空洞で、歯ごたえはしっかりとし、葉もおいしい。
②アイスプラント
[ハマミズナ科] 原産地は南アフリカ。
表面は薄い塩味がして、シャキシャキ感とプチプチ感を楽しむ。
③スイスチャード(不断草:フダンソウ)
ホウレンソウと同じ[アカザ科]の仲間。色とりどりの葉軸をした野菜。
(赤、黄、白、ピンク、オレンジなど)
葉を下からかいていくと、一年中収穫できることから、「不断草」の名前がついたそうです。
熱を加えても、色は鮮やかなままです。
■まとめと感想
一番興味深かったのは、レポートでは伝えづらいのですが、農業の風景写真。
私も実家は農業をしていましたので、懐かしくもあり、新しい発見も多々あり…。
都会に住んでいると、忘れてしまいがちなもの、たくさんあります。
日本には四季というすばらしいものがありますが、昔と違い、年中行事も簡素化されています。
便利な世の中になった半面、季節を大切にするという心が少し失われているような気がします。
今日からでも、少しずつ取り入れて、自然の恵みにも感謝したいと思います。
本日は、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
【レポート作成者】
角倉 咲子 (野菜ソムリエ)
趣味は、魚釣りに行って、魚を捌いて食べること。
「旬の野菜」と「旬の魚」を用いた料理のレシピを開発中です。