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【東京】ナシのワークショップ

025024日時: 平成19年10月1日(月) 19:00~21:00
講師: 中村先生
会場: 協会本部渋谷第一教室

中村先生を講師に迎え、9種類の梨の食べ比べを行いました。
 赤梨: 豊水・南水・新高・あきづき・長十郎
 青梨: サンセーキ・二十世紀
 洋梨: バートレット・マルゲリットマリーラ  

まずは梨についてレクチャーいただきました。

梨はバラ科の果物(りんごやイチゴと仲間です)。日本梨については「日本書紀」には既に記載があり、登呂遺跡からも炭化した梨の種が発見さています。西洋梨は明治時代に入ってきましたが、同時期に入ってきたりんご(私たちが食べているのは西洋種)に比べて普及しにくかったそうです。理由として西洋梨は追熟しないと美味しくならないことが考えられるそうです。待たないと食べられないものは日本人は好まないのかもしれないとのことでしたが、もしかすると食べ方について分かっていなかったのかもしれないとも思いました。
一般的な洋梨の食べ方は20℃で保存していい香りがしてきたら食べ頃とのことでしたが、店頭に並ぶまでに、(エチレンガスで)無理に追熟などしている場合にはいくら待っても美味しくならないケースもあるようです。また、あまり高温だと追熟障害が発生してしまうので、今の東京であれば10月頃からが食べ頃だろうとのことでした。追熟が必要で食べ頃の判断が難しいことから不遇な時代を送ってきた洋梨ですが、お菓子に使われるだけでなく最近ではようやく脚光を浴びるようになってきました。

●日本梨の特徴は石細胞(せきさいぼう)によるザラつきーサンドペア(砂梨)
●西洋梨の特徴は可溶性ペクチンによる滑らかさーバターペア

(一般的に糖度の高さは、洋梨 > 中国梨 > 日本梨 と言われています)

一般的に「早生にうまいものなし」と言われますが、梨は別!とのこと。早生・中生・晩生のそれぞれの品種に美味しさがある果物です。8月のお盆あたりから早生の幸水が出始め、9月頃に中生の豊水、10月以降に晩生の新高へと移っていきますが、今出ている殆どの品種は青梨の二十世紀の血筋です。「二十世紀は***に比べて甘さが足りない」と言われることもあるようですが、***(新しい品種)は二十世紀のいいところを活かしてできた改良品種なのですから、そう考えると当然と言えるかも知れません。

●青梨の特徴はジューシーで軟らか
●赤梨の特徴はザラつく感じがあり日保ちがよい

*食べ比べの品種*
 ワークショップ配布資料より(但しコメントは中村先生より、糖度は当日の測定値)

赤梨 030

●豊水(長野県) ¥200
果皮:赤葉色、肉質:緻密で軟らかく多汁、 食味:甘味高くやや酸味あり濃厚な味、
コメント:幸水と新水とあわせて三水と呼ばれている
糖度:10

●南水(長野県安曇野)¥300
果皮:黄褐色、肉質:緻密で軟らかく多汁、 食味:甘味高く酸味少ない、
コメント:氷温貯蔵で長期保存が可能(年明けまでー約6ヶ月)、輸出も始まった比較的新しい品種
糖度:12・6

●新高(高知県) ¥500
果皮:褐色、肉質:軟らかく多汁、食味:甘味は中くらい酸味少なく少し香りがある、
コメント:新潟と高知の梨を親にもつことから命名
糖度:13

●秋月(長野県) ¥399
果皮:黄赤褐色、肉質:緻密、食味:豊水に似た甘さ
糖度:10.9

●長十郎(宮城県)¥183
果皮:褐色、肉質:粗い、 備考:「昔ながらの梨」、
コメント:神奈川県川崎市で梨農家の当麻辰次郎氏が発見、氏の屋号より命名。独特の香りがする
糖度:15

青梨
●サンセーキ(長野県) ¥250
果皮:緑黄色、肉質:二十世紀に比べて硬い、食味:二十世紀に比べて甘味高く濃厚な味、
備考:袋がけしていない分二十世紀より見た目は悪い、
コメント:「Sun=太陽」、二十世紀を黒斑病に強く改良した品種につき無袋栽培が可能
糖度:16

●二十世紀(鳥取県) ¥200
果皮:緑黄色、肉質:微細で軟らかく多汁、食味:甘味少ない、備考:欠点は黒斑病に弱い、
コメント:薄く美しい黄緑色は三重にもなる袋がけの賜物、黒斑病に弱く自家受粉しない。千葉県松戸市のゴミ箱から生えてきた木による偶発実生で詳細は分かっていない。
糖度:10.1

洋梨
●バーレット(秋田県) ¥180
果皮:鮮淡緑、肉質:緻密でねっとり多少ざらつく、食味:甘味は中くらい酸味がやや強い、
コメント:世界で一番食べられている洋梨だが日本では人気がない(当たりはずれがあるからかも)
糖度:11

●マルゲリットマリーラ(山形県) ¥500
果皮:黄色、肉質:多汁でやや繊維質、食味:甘味少なく酸味ない
糖度:14・5

*いろいろな品種のお話*
ご用意いただいた梨の他にもいろいろな品種名が出てきました(以下は紹介のみ)。

○長二十世紀・・別名「ゴールド二十世紀」、二十世紀より糖度高く自家受粉する     長(おさ)氏により作られた。
○かおり梨・・・・その名の通り香りがよく「幻の梨」とも、自家受粉しない
○にっこり梨・・・「日光」の地名と「り」=梨の語呂合わせにより命名、幸水の2~3の大きさ  新高*豊水の晩生種
○ラ・フランス・・フランス原産の洋梨(病気に弱く作りにくいこともありフランスではあまり作っていない)。洋梨の中では無難と考えられているようで、日本人に比較的馴染みがある。特有の香りがする。
○ル・レクチュエ・(黄色く澄んだ色になると食べ頃、とろりとした舌触り)
○ヤーリー(鴨梨)、ホーリー、ツーリー(慈梨)・・・それぞれ中国梨の名称。
○千両梨・・・・・ヤーリーの偶発実生。明治時代に発見された北海道の独自品種。

*食べ比べ*
長十郎(宮城県産)、秋月(長野県産)、豊水(長野県産)、サンセーキ(長野県産)、二十世紀(鳥取県産)、南水(長野県安曇野産)、バートレット(秋田県産)、新高(高知県産)、マルゲリットマリーラ(山形県産)Photo Photo_2 Photo_3 Photo_4 Photo_5

 
秋の味覚“梨”は大好きな果物なので今日の食べ比べを楽しみにしておりました。ジューシーさや甘さ、歯触りや後口など様々でしたが、どれも美味しくいただきました。
日本梨について印象的だったところは、豊水―軟らかく多汁で酸味もしっかり、南水―口に含むと甘いが後口さっぱり、新高―多汁でまったり甘い、秋月―香水の様な香り、長十郎―爽やかな甘い香りが大変によくザクザクした歯ごたえと強い甘味、サンセーキー果汁しっかり、二十世紀―果汁・酸味しっかり、といった点です。一番のお気に入りは芳しく、食べた満足感が高い長十郎でした。
バターペアと呼ばれるほどにトロリと美味しい洋梨ですが、いただいたマルゲリットマリーラは皮がしっかりしていて果汁は少なくガシガシした感じでした。初めて食べたときにイマイチのものに当たると次回に繋がらないことが多いという洋梨、こういうことなのだなと実感しました。対してバーレットは、ねっとりとした甘い香りがとても魅惑的で皮まで軟らかく、食感はクニャッとしていて舌触りもよく食後は鼻からフルーティーな香りが抜け洋梨の魅力を感じることができました。今回、洋梨は2種類ご用意いただきましたが、洋梨の難しさと魅力を一度に体験することができました。

お話の最後に、梨は品種が多く出荷時期も長くアレルギーもないので(りんごやバナナなどアレルギーの可能性がある果物は結構多い)、沢山の方にもっと食べて欲しいとのことでした。
D1000265

*番外編*
梨の食べ比べまで終えて質問のお時間になりました。折角の機会にと、いろいろな質問がありお話をうかがうことができました。
まずはF1についてのご説明。「F1とは鳶が鷹を産むということ」というのはとても分かりやすかったです。つい長々と説明してしまいがちですが、この様に短く分かりやすい説明だと聞き手の興味が薄れる前に理解してもらえて効果的だと思いました(短くまとめるのは難しいことなのですが)。
次に日本の農業問題についても、例えばお米については現状ではそうそう割に合わないということや、農業で一番大変なことは販売することかもしれないということ、旬を外す農業についてエコの視点から見直そう、農家さんの自立について(第一次産業にとどまらず第二・三次産業へー例:農家レストラン)、などいろいろなお話をうかがい考えるきっかけをいただくことができました。

そして、「農体験が話を深くする」ということー身をもって体験しないと話が上辺だけのものになってしまうということや、ごはん食に戻っていけば野菜の摂取量も伸びる(ご飯にお味噌汁からお漬物や副菜に繋がっていく)ということもおっしゃっていました。

*結びに*
梨のワークショップでしたが、梨にとどまらず広くお話をうかがうことができ、大変有意義な2時間でした。中村先生は畑焼けで真っ黒で、そのお姿がお話により力強さを持たせていた気がします。机上の勉強だけでは分からないことが沢山あると思いこの夏はトマトとナスを植えてみましたが、大きくなっていく楽しみから台風で仕立てたものがなぎ倒されてしまった時の思いなど、ほんの僅かながらも農家さんの思いを追体験できたような気がしました。これからいろいろ挑戦してみたいと思います。
中村先生、どうも有難うございました。028

ベジタブル&フルーツマイスター 武田由季
ベジフルビューティーセルフアドバイザー、スパイスコーディネーター協会認定スパイスコーディネーター、ベジフルティーチャー。
「野菜果物とハーブ&スパイスを調和させたカラダと心に優しい幸せな食生活」を提案したいと思い研鑽を積むかたわら、レシピ開発や講師としても活動中。