知っておきたい!「食品衛生」のはなし
~食材の購入から調理、キッチンの管理まで~
日時:2008年2月26日 (火) 19:00~21:00
講師:藤井淳生先生
昨年2007年は食品偽装や賞味期限改ざんなど食に関する嫌な事件が多発し、
また今年になって冷凍ギョーザの中毒事件など私たちの食卓を脅かす
出来事が後を絶ちません。
安全で安心できる食卓をかこむため、私たちは何に注意し、
実行すればよいかをこの講座で学びました。
―詐欺にあたる食品偽装とそうでない場合―
昨年毎日のように目にした食品偽装のニュース。
これは詐欺行為にあたる場合とそうでない場合に分かれます。
例えば食肉偽装の事件。これは他の肉をまぜておきながら牛肉100%と偽って販売し、
利益を得たので詐欺事件として刑事告発されます。
一方賞味・消費期限の改ざんは「JAS法」や「食品衛生法」
に反する場合がありますが、詐欺としては立件されない場合が多いそうです。
その理由は、各業者によってどんな素材を使ってどのような方法で作るのか
それぞれ異なり、それによって賞味・消費期限はメーカーごとで設定するので
国定基準はないからなのです。
私たちはメーカーを信じて買い物をしているわけですから、
このような食品偽装やまたは公共の場所で食中毒が起きた時自分の力で
防ぐことは困難です。
このような場合は大々的に取り上げられるので明るみになりますが、
家庭における食中毒は飲食店よりも衛生管理が低く、
報告例も少ないので実際の件数は意外と多いのが現状です。
では家庭レベルにおいて、食卓にはどんなリスクが潜んでいてそれをどのように
回避したらよいのでしょうか?
―工程管理(個人レベルにおけるHACCP)―
一般的にHACCPとひとくくりで言われていますが、HAとCCPに分かれており、
別々の衛生管理技術です。
HA― Hazard Analysisの略で、
原材料及び製造工程中においてどのような危害でどの程度危険かを
分析する手法。
CCP― Critical Control Pointの略で、
危害分析で特定された危険をどう監視するか、取り除くかというもの。
この手法を使って、個人レベルでできることは、
食材の購入から後片付けに至るまでプロセスを一つ一つ分解し、
そこに潜む危険を想定して回避する手段を持つことです。
例えば、野菜の購入から調理までのプロセスを分解すると、
購入→包装→運搬→開封→調理→保存
となります。
危険を回避するためにそれぞれの工程管理を考えてみると、
購入― 新鮮なものを選ぶ
包装― 肉や魚など生ものとは別にする
運搬― 長時間温度の高い所に放置しない
開封― 開けたらすぐに調理する・使いきれないものは冷蔵庫などで適切に保存
調理― 衛生的な環境で清潔な器具を使う。食材はよく洗い、
加熱調理するものはしっかりとする
保存― 調理後は早めに食べきるか、しっかりラップなどをかけて冷蔵庫にしまう
というような想定ができます。
さらにもっと細かくチェックすることはできますが、
要所をおさえておけば食中毒は十分防げるのではないでしょうか。
―食品/食事に潜むリスク―
3つの観点からリスクがわかれます。
生物学的リスク
・病原性微生物 ・ウィルス ・自然毒 ・寄生虫/原虫 ・アレルギー
・遺伝子組換え ・硝酸/シュウ酸
化学的リスク
・食品添加物 ・ダイオキシン類 ・洗剤/施設使用剤 ・残留農薬/抗生物質
・重金属 ・環境ホルモン ・油脂酸化物(ex:天ぷら油を何度も使うなど)
物理的リスク
・骨/獣毛/殻/繊維 ・金属片 ・紙 ・毛髪
上記のリスクの中で赤字になっているものは私たちが注意すれば回避できるものです
―身近にあるリスク例―
病原性微生物の中でサルモネラ菌・O-157・黄色ブドウ球菌・ノロウィルスなどは
よく耳にします。つまりそれだけ頻繁に発生しているのです。
例えば 黄色ブドウ球菌は体液に繁殖し、手や指のささくれ・あかぎれから食品に
移染してしまいます。
ささくれやあかぎれができている場合はビニール手袋を着けての調理が
望ましいでしょう。
微生物による食中毒は潜伏期間があるのに対し、
化学物質によるものは急性中毒だとわかるのが特徴です。
今世間を騒がせている冷凍ギョーザの事件はメタミドホスによるものだったので、
食べた直後に症状が出たのです。
この事件でもう1種類、検出されたジクロルボスという物質は蝿取り紙などに
使用されている殺虫剤で、蝿取り紙を天井から下げていれば、
常時ジクロルボスが少量ではあるが充満しているのです。
このように私たちの生活の中には数多くの細菌が存在し、
また化学物質は欠かせないものとなっています。適切に処置をすれば
問題はありませんが、
しかしいつ私たちの身に危険が起きるかわかりません。
安全な生活を送る為にそれらとうまくやっていかなくてはならないのです。
-生活の中でできること-
<開封後の管理・処理>
どんなに賞味・消費期限がまだ有効であっても、
開けた瞬間からその意味はなくなります。
開封すると、空気圧が変化し酸素にふれることになり、
細菌は温度・湿度・栄養などの条件が揃えば増殖するので食べきるのが
早ければ早いほど食中毒のリスクは減少します。
開封したらその日付を明記しておき、適切な保存をすることが大切です。
常温保存のものでも冷蔵庫に入れておくのが良いでしょう。
<キッチン設備や調理器具の管理>
キッチンは微生物の繁殖を防ぐ為に温度25℃以下、湿度80%以下に保ちます。
常に換気をよくし、水分をよく拭き取り、アルコールを常備して噴霧するのも大事です。
また素材によってそれぞれ専用のまな板やナイフを用意するのも良いでしょう。
下処理の順番は、野菜→魚→肉→泥野菜で処理します。
なぜなら、魚と肉は付いている微生物がそれぞれ違い、
また泥には1gの中に一億個以上の微生物が存在しているといわれています。
それだけ微生物が多いのですから、それぞれ専用の器具で処理した方が安全です。
冷蔵庫の管理も重要です。適切な温度を保ち、
(冷凍-18℃、冷蔵2~4℃、チルド0℃、パーシャル-3℃、野菜室4~5℃)
カビを発生させないよう常に監視して2週間に一回位はアルコールでていねいに
拭くようにします。
<食品の選択・管理>
油は酸化が進んだものを使うと死に至ることもあるそうです。
天ぷら油は二週間に一回の交換(その間に3~4回の使用)し、
煙が出るほど加熱した場合次回は使えせん。
(加熱の温度が高くなればなるほど酸化が進むので)
缶詰は保存食として便利なものですが、あまりに古くなりすぎたものやぬれていたり、
加熱と冷却を繰り返したものは処分した方がよいです。
冷凍食品は解凍→再凍結→解凍をくりかえさないようにします。
くりかえす事によって水分活性が上昇、細菌が繁殖しやすくなります。
一回で使いきるか、早めに食べきるようにします。
袋の上からさわったみて固まりがある冷凍食品は
一回解凍してまた凍結したものなので注意します。
<食中毒になってしまったら>
もし食中毒になってしまったら主な症状として出るのが下痢と嘔吐ですが、
すぐに下痢止めや胃薬などは飲まないで、
体内にある悪いものを全部出し切ってしまったほうが良いそうです。
【講義を終えて】
先生のおはなしを伺ってハッとさせられることばかりの2時間でした。
我が家の衛生管理を見直してみると、買ってきたものや
調理済みのものを適切な温度で保存していなかったり、キッチンや冷蔵庫のすみずみまで決してキレイとはいえなかったり…
反省することしきりです。
HACCPなんて大きな企業が行うものと思っていましたが、
個人レベルでも一つ一つの場面を設定し危険を想定することは大切で、
企業と違って規模が小さいのでかえってやりやすいと思います。
実は私も過去に食中毒になってほんとうにつらい思いをしました。
大事な家族を守るため、楽しい食卓を囲むためにも今回学んだことを
しっかり生かしたいと思います。
食べることと料理をすることが大好きな私にとって、
野菜・果物は豊かな食生活を送るためには欠かせない存在です。
毎日が驚きと発見であり、
様々な角度から知識を与えてくれる野菜・果物に対して日々感謝の
気持ちでいっぱいです。
ベジタブル&フルーツマイスター 久保三春