【名古屋】春を感じる薬膳料理
日時:2008年3月7日(金)19:00~21:00
講師:名古屋調理師専門学校 サーヴィス・福祉調理教授
国際薬膳調理師 鈴木 良武先生
場所:協会本部名古屋教室
薬膳というと「クコの実やなつめを使っていて、いかにも体に良さそう。」とか「中国王朝の食事?」といったイメージをお持ちの方、たくさんいらっしゃると思います。私もその一人で、まさに楊貴妃にでもなったような気分で席に着いたのですが・・・。実は薬膳というのはもっと身近なものだったのです。
Ⅰ薬膳とは ―――― 食療と食養
食療・・・食事で病気を治すこと
食養・・・病気の一歩手前の症状(肩こり、だるさなど)を改善すること
※世間一般の薬膳のイメージである「生薬を使っている」「中国料理」「高級感」というのは食療の部分なのです。つまり薬膳とは、中国の伝統医学に基づき考えられた「食材の効能を生かした料理」を指すのであって、中国料理に限ったことではありません。和食、イタリアン・・・すべて薬膳になります。毎日食べる家庭料理にこそ薬膳の知恵は生かされるべきなのです。
Ⅱ薬膳の基本的な考え方 ―――― 食物の働きを知ろう
薬膳では食物の働きを4つの点から見ています。
①食性 すべての食物には食性があり、「温熱」「寒涼」「平性」に分類されます。
温熱性食品・・・体を温め、栄養を補い、気力も高めてくれます。
唐辛子、ニラ、ニンニク、ネギ類、生姜、かぶ、シソ、鶏肉、太刀魚、
えび、鮭、黒砂糖、アルコール類、なたね油など
寒涼性食品・・・体のほてり、むくみを取り、解毒作用があります。
ほうれん草、セロリ、なす、トマト、キュウリ、大根、人参、ごぼう、
カニ、はまぐり、海藻、上白糖、食塩、醤油、ごま油など
平性食品・・・・・温熱、寒涼のどちらにも偏らないもの
②食味 食物には5つの味があり、それぞれ性質があります。
酸(さん)・・・筋肉を引き締め、汗が出過ぎるのを防ぎます。
苦(く)・・・・・体内の熱や湿気を取り、解毒・気を静める効果があります。
甘(かん)・・・滋養強壮
辛(しん)・・・気、血のめぐりを良くし、体を温め発汗させ、不要の水分を除いてくれます。
鹹(げん)・・・塩辛い味。体内の滞りを和らげる作用があります。
③帰経 食物の入りやすい臓器を指します。
肝経・・・肝臓・胆嚢・目・筋・子宮・爪・自律神経に関連
心経・・・心臓・小腸・循環器・脳の意識思惟・舌・顔面に関連
脾経・・・胃腸・水分代謝・筋肉・味覚・免疫・止血機能に関連
肺経・・・肺・大腸・皮膚・鼻・免疫機能に関連
腎経・・・腎・膀胱・内分泌・脳・骨髄・耳・髪に関連
④効能
清熱(余分な熱をさます)、滋養(栄養を補う)、活血(血をいきいきさせる)、行気(気のめぐりを良くする)など多くの働きがあります。中国語ですが、漢字から意味は何となく伝わってくるのでは・・・。
※たとえば「れんこん」をこの4つの働きに従って表現すると次のようになります。
食性は「温」 食味は「甘」 帰経は腎・胃
効能は健脾開胃(消化器系を元気にして、食欲増進)、補腎益血(腎を強めて血を補う。抗酸化力UP)
Ⅲ気・血・水の滞りをチェック!!
気は「自律神経」、血は「血液の循環」、水は「水分の代謝」を表します。私たち現代人は気、血、水のどこかに滞りがあると言われています。
●気の滞り・・・イライラやお腹の張りに悩む
ハーブティー、ミツバ、シソ、パセリ、バジルなど香りの強い食材で気分を
リフレッシュさせましょう。トロピカルフルーツで体の熱を取りましょう。
●血の滞り・・・血行が悪く、冷え性、肩こり、肌荒れに悩む
なす、黒豆、黒酢、黒きくらげ、黒オリーブなど黒い食材で血流を上げましょう。
玉ねぎ、ニンニク、生姜、うこん、シナモンで体を温めましょう。
●水の滞り・・・体が重くて疲れやすい。むくみに悩む。
スイカ、きゅうり、冬瓜、メロン、ズッキーニ、ゴーヤなど利尿作用の ある食材を摂りましょう。
大豆食品、小豆、緑豆春雨、緑豆もやし、白いんげん豆などを摂って、
お通じをよくしましょう。
Ⅳ春の薬膳
☆春の季節と人間の体
冬から春に向かって自然界が再び動き始めるのと同様に、人間の体も活発になり、新陳代謝が盛んになってきます。春は「肝」の活動が活発になる時期です。「肝」がのびやかに働くことができないと、私たちの体にも不調のサインが出てきます。
―春によく見られる症状―
頭痛・目の充血・目やに・疲れ目・のぼせ・イライラ・怒りっぽい・不眠・耳鳴り・鼻水・鼻詰まり・喉が渇く・口が苦い・顔面紅潮・動悸・花粉症・自律神経失調症・更年期障害など
☆春に摂るとよい食材
うど、クレソン、セリ、セロリ、玉ねぎ、パセリ、菜の花、ふき、グレープフルーツなど香りの強いものや苦味のある食材を積極的に摂りましょう。
☆お楽しみの試食は春野菜のスープ
鈴木先生が目の前で春野菜のスープを作って下さいました。セロリ、菜の花、玉ねぎ、パセリなど春の息吹を感じるお野菜がいっぱい!!ベーコンとマカロニも入っているので満足感もあります。とても優しい塩味のスープで、使われている食材の効能に深くうなずきながらいただくと、しみじみ効果が表れてくるような気持ちになりました。鈴木先生、ごちそうさまでした!!
Ⅴ最後に ―――― 薬膳はバランス
薬膳という言葉は、1980年頃北京のレストランで初めて使われたそうです。言葉は新しいのですが、中身は長い歴史と実践の積み重ねです。そして、その中心にあるのは「陰陽五行」という理論です。とても難解な理論ですが、「世の中のありとあらゆるもののバランスを整えることを目標にしている。」と言ったらよいでしょうか。体内のバランス、食物のバランス、季節・気候とのバランス、風土とのバランスなど・・・それらを整えることが健康な体を維持することにつながるのです。
また、薬膳は中国が発祥の地なので、植物性・動物性問わず何でも体に取り入れます。この点がマクロビオティックと大きく違う点です。
「バランスよく食べましょう。」「旬の食材にはパワーがあります。」「その土地で採れたものを食べましょう。」「(あなたの命を)いただきます。」など、私たち野菜ソムリエが周囲に、そして後世に伝えていかなければならない大切な要素を、薬膳を通して見つめ直すことができました。
開催日の3月7日は、昼間の陽気がうそのように、夕方からは強い風が吹き始めました。しかし、春野菜のスープを飲み終えて教室を出る頃には、「風邪も花粉も恐くない!!すべて健康!」といわんばかりに背筋が伸び、颯爽と風に向かって歩き出していました。
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【レポート作成者】
ベジタブル&フルーツマイスター 上久保 節代
静岡県袋井市在住。野菜の講義を取り入れた料理教室、幼稚園・小学校の食育活動に携わっています。
最近は、生産者にレシピを提供したり、農産物直売所で野菜の食べ方を紹介させていただいたり、少しずつ活動の場を広げています。


