【東京】農薬を考える
【東京】農薬を考える
日時:5月27日 19:00~21:00
講師:山村友宏先生
会場:協会本部渋谷第三教室
皆さんは農薬を使用する事に賛成ですか?反対ですか?
また、農薬についてどれくらい知っていますか?
私は農薬について理解を深めたいと思い、勉強会に参加させていただきました。
スタートは、参加者がグループ毎に農薬使用の賛成派、
反対派の立場になりディスカッション。
賛成派:大量生産のために必要。
労働効率を上げるために必要
病気、害虫から守るために必要 など
反対派:農薬散布時のドリフトの問題
人体に悪影響
土壌、水質汚染の累積 など
色々な意見が挙がりましたが、どちらの意見が本当に正しいものなのでしょうか?
●農薬の歴史
農業を始めると同時に、人間と病虫害との関係がはじまりました。
単一品目の大量栽培・同一品目の連作を行うことにより、
その品目を好む病害虫が大発生します。
1732年 ・・・享保の大飢饉
ウンカ(中国から飛来するイネの害虫)の大発生が原因とされている。
しかし防除法は祈祷が主でした。
1826年・・・注油駆除法
田んぼに鯨油など油をまくと、水面に広がり油膜を作ります。
そこに虫が落ちると油に搦まれて飛び上がることが出来なくなり、
死んでしまいます。
その後、除虫菊(蚊取り線香と同じ成分)、
石灰硫黄などの殺菌剤など天然物由来の農薬が使われていました。
20世紀に入ってからDDPやBHCやパラチオンのような化学合成農薬、
2,4-Dが開発されました。農薬により病害虫の多くの苦しみ、
除草という重労働から農家を開放し、安定した食糧供給に寄与しました。
しかし、抵抗性害虫の反撃や残留農薬と生物濃縮など様々な問題が起こりました。
これを教訓に、現在では残留性や人体への影響に十分配慮した農薬の開発が
行われています。
●農薬がなくなったら?
・開発途上国では、現在も40%の農産物が病害虫で失われています。
・農薬を使用しないで生活者が求める農作物を生産することは困難である。
日本の農作物が農薬を使用しないで栽培した場合の収穫量の減少率
⇒水稲:28% りんご:97% もも:100% キャベツ:63%
・世界の農地面積(14億ha)増加は頭打ち、人口増加は続いている。
・農業の雑草との戦い(10aあたり)
⇒除草剤のなかった時代1949年:50時間
→ 除草剤を使用している1999年:2時間
●法律による安全性の確保
・農薬取締法(農林水産省)
農薬の登録、使用基準、登録保留基準を定めています。
・食品衛生法(厚生労働省)
人の健康を損なう事がないよう、食品の残留する農薬などの限度量として
「残留農薬基準」が定められています。
残留農薬基準値は、農薬等の許容一日摂取量(ADI)を評価し、
毎日の食事をつうじて摂取する農薬等の量が、この許容一日摂取量(ADI)
を超えないように設定されています。
ポジティブリスト:基本的に残留不可。
残留していいものをリストアップ⇔ネガティブリスト
これらの法律により農薬の安全性が確保されています。
●気になる農薬
食品安全委員会製作「気になる農薬」のDVDを鑑賞しました。
※WEBでも視聴できます。(本編 約20分)
http://www.gov-online.go.jp/useful/video/kininaru_nouyaku/index.html
映像では、農薬の安全性、厳しい基準について分かりやすく解説されていました。
また、映像では、「国産農産物から見つかった残留農薬は
平均で全体の0.44%の割合」と述べられています。
しかし、この残留農薬検出率0.44%にはカラクリがあります。
残留農薬率0.44%の計算方法(農薬検出数/検体数×分析対象農薬数の比率)
・100個の農産物に対して100種類の農薬の検査をしました。
検査総数は100×100で10000件
・この10000件のデータのうち44個についてのみ残留農薬が検出されました。
44÷10000=0・0044 つまり0.44%です。
・この計算方法だと、全ての農産物(100個)から1項目ずつ残留農薬が検出されても
100÷10000=0.01 つまり1%です。
1個の農産物から100種類の検査をして、1つの残留農薬が検出したら1%と表す。
どうでしょうか?
1個の農産物から1つの残留農薬が検出でれば100%だと思うのですが・・・。
●農薬を考える
①日本人の科学リテラシーの低さ
リテラシー(literacy):基礎知識
・フードファシズムの蔓延 ⇒ 食品の影響に対して過度の期待、
あるいは拒絶に基づく行為であるといえます。
・遺伝子組換え農産物 ⇒ 日本が飢餓の時代を迎えたときにこれしか
無ければどうするのか?
食べますか?食べませんか?
②リスク(危険性)とベネフィット(便益性)
・リスクで物事を考えれば、ベネフィットについても考えなければならない。
一般にリスクを低減しようとすると、これに伴いベネフィットが低下するものである。
またベネフィットを得ようとすれば、必ずリスクは伴うものです。
③農薬を減らすのは消費者のため?
・農家の健康被害、誤使用の問題 ⇒ 食べる人にはリスクはないが、
作る人にはリスクがあります。
農家は医師・薬剤師ではないため、誤使用の可能性もあります。
・環境保全
・病害虫、雑草の耐性獲得
そして...生活者の「安心」のため
※このようなことから、農薬の使用に賛成・反対の意見のどちらが正しいとは
はっきりと言い切れない中立的な
立場の人も多いのではないでしょうか?農薬は人間の飲む薬と同じように、
その使い方や量によって役にたつこともあれば毒になることもあります。
大切なことは、リスク(危険性)とベネフィット(便益性)のバランスをとること。
質で問題をとらえるのではなく、量でとらえこと。
リスクを定量的に評価するようになれば、
リスクは正しく受け入れられ、リスクを大きく捉える情緒的、
感情的な傾向は低下すると思われます。
個人個人が、農薬の安全性の考え方やリスク(危険性)とベネフィット(便益性)、
そして農薬の安全評価などをふまえた上で農薬の使用にについて
多角的に考え結論を出して下さい。
ベジタブル&フルーツマイスター 小倉 倫子
昨年、マイスターを取得しました。やっとスタートラインに立てた感じです。
今年は、野菜や果物に関わる活動の幅を広げるために、
食育、フードコーディネーターの資格取得を目指します。
そして、野菜や果物の魅力を分かりやすく伝えられるような食育活動が
できればと思っています。


