【東京】最近の食品事件・事故のニュースをどう見るか/食品の安全性と流通の実態
タイトル:
「最近の食品事件・事故のニュースをどう見るか/食品の安全性と流通の実態」
活動日時:
2008年12月2日(水)19:00~21:00
会場:
協会本部 渋谷第三教室
講師:
株式会社 農水産ID(AAID)藤井淳生先生
昨今、食品に関する事件・事故が多発しています。
いったいなぜそういったことが起こるのか?
私たち生活者は、何を信じていけばよいのか…?
そんな思いが少しでも解明できればという思いから、
「食品表示の裏と表」に引き続き、今回も藤井先生の講義に出席してきました。
「2008年食品事件・事故を振り返って」
~野菜のソムリエには何ができるのか~
“2008年の食品事件・事故を振り返ろう”
1週間に1件以上の割合で、食品事件・事故は起きているという。
2008年は
「中国製の冷凍餃子からメタミドホス、ジクロルボスを高濃度で検出」の
ニュースではじまる
こういった食品の事件・事故は大きく分けて3つに大別される。
① 残留(農薬様物質)
② 事件【故意】(経済被害または人体被害)
③ 事故(経済被害または人体被害)
これらをはっきりと明確にし、どういう種類の事件・事故なのかを
把握することが大切である。
● いつ発覚したのか?
● 原因は?
● 被害者は?
● 加害者は?
● どのくらい重大なことか?
以上のことを、野菜ソムリエとして事故カルテをまとめておくとよい。
■ 2008年に起きた事件・事故リストで印象的だったものは?
● 農薬の意図的?混入事件
例)中国製冷凍餃子へのメタミドホス、ジクロルボス混入事件
● でたらめな?水産物の名称
例)水産業界はブラックボックスが多い⇒切ったりすり身にするとわからない⇒
雑魚としてかまぼこ等に混ぜて売る
● 外国産を国産品に偽装?
例)中国産の冷凍里芋、タケノコ水煮、山菜などを国産品と偽って
販売しているものが多い
● 自然界の毒物、劇物が…意外と知らない自然界の毒物の恐さ
例)貝 類⇒魚介類の中でも、貝類は定置にいるプランクトン(毒を持っている)を食べる。
その1;かき毒⇒かきは、プランクトンをえさとして食べているので、
貝の体内に貝毒として溜まる。こういった理由から、
貝類は一度にたくさん食べない。知らない貝は食べない。
その2;大阪の飲食店で“アジサイの葉”を提供、客が誤って喫食。
アジサイの葉は毒を持っていることがある⇒
葉にシアン化合物が含まれている可能性が指摘されている。
アジサイの花=青色、青色の色素は
シアン化合物(シアン配糖体でできている)=青酸
青酸にカリウムがつくと、青酸カリになる。
● 食品でないものが不正に?流用されて…
例)事故米
事故米とは…貯蔵中にカビ汚染されたもの、農薬に汚染されたタイ米、
カドミウム汚染米(土壌に重金属であるカドミウムがたくさん含まれていて、
お米の籾に入り込みやすい)のこと。
事故米のゆくえ⇒事故米の主流は、米でんぷんに加工された後、
本来は工業用糊原料となるが、需要は多くない。
医薬品糖衣や化粧品の原料、食品添加物の原料、家畜飼料となっている可能性が
指摘されている。工業用の糊の用途はそれほど多くはないのが現状。
● 喫食方法が周知されていなかった
例)マンナンライフのこんにゃく畑⇒もともとは、ダイエット用として販売予定だった。しかし、流通業界が
「こんにゃくゼリー」と表示するようになり、「子供のおやつ」として定着してしまった。
何が問題なのか、個別に検討しよう
■ 事故/事件の分析/分類
● 事例1:和菓子から殺虫成分を検出
(株)もち吉の和菓子「えん餅」から基準値の7000倍のフェニトロチオン検出。
工場内従業員の仕業と判明。従業員自殺。
● 事例2:輸入ゴマの種子から殺虫成分を検出
パラグアイ産のゴマの種子からイミダクロプリド検出。
ゴマは、“食品”として輸入すると輸入検査が厳しい。
“種”として輸入すると輸入検査は厳しくない。
日本に輸入されている「食品のゴマ」のほとんどは“種”として
輸入されている。 食品として扱われていないので、農薬残留検査は
していない。しかし、実際のところ「食品」として流通させている業者が
あったので、残留農薬検査の結果、
基準値を上回る値が検出され食品衛生法違反が発覚した。
● 事例3:中国産乳等にメラミンが混入
中国産乳・乳製品原料、タンパク原料を使用した食品からメラミンが検出
メラミンとは、メラミン樹脂(メラミンとホルムアルデヒドを主体として
縮合した合成樹脂)の原料として使用されている。
メラミンは、他の物質とくっつきやすい性質があり、くっつくと分子量が
大きくなり、偽たんぱく質や偽脂肪となり、たんぱく質や脂肪が増えたように
見せかけることができる。
● 事例4:輸入届出に不正な証明書を発行
冷凍食品検査協会は、輸入者から受託した飲食器、おもちゃの
規格試験について、試験を実施せずにまたは試験終了前に
試験成績証明書を発行。
同協会のように、国の第3者検査機関でも、利益がないと倒産してしまう。
顧客である輸入者から無理な強要をされると断れない状況にあるのが現実。
どこまで求める?食品の安全
~2009年に耳に入ってきそうなことば その1~
■ フードセーフティ…1つの食品をつくるにあたり、1つ1つの安全性を高めること
例)どうやったら、トマトに周囲の農薬がつかないようにすることができるか?
■ フードセキュリティ…食糧の量的確保、食糧安全保障、量的安全性
■ フードディフェンス…食品故意の操作から食品の安全性を守る手立て、
食品テロ対策、犯罪防止
例)知識がある人がテロを起こすことは可能。それらの犯罪防止方法。
~2009年に耳に入ってきそうなことば その2~
“メディアリテラシー”を身につけよう
■ 情報源の意図を理解する⇒
マスコミの流す情報には情報発信の意図(利害関係)がある。
■ 「公平な情報/報道はない」という視点を持つ
※ 報道しないことに意図がある。三笠フーズに、事故米をおろした会社は
ほとんど報道されない。
⇒メディアは広告料で成り立っている、という疑いの目を向けること。
野菜ソムリエにできることは?
■ 安全性の科学的根拠を知る
■ 安心感を与えるよう活動する
【講義に参加した感想】
とても内容の濃い、意義深い2時間でした。
報道を鵜呑みにせず多方面から情報を取り入れて自分なりの意見や
考えを身につけることが大切だと思いました。
~ベジタブル&フルーツマイスター 北川みゆき~
現在、保育園の栄養士として勤務。
保育園や小学校を中心に野菜・果物の摂取啓発をコンセプトとした
食育活動を行っています。
野菜・果物の魅力を1人でも多くの人に伝えていくとともに、
食に関すること特に“食の安心・安全”について正しい情報を
生活者のみなさんにお伝えしていきたいと考えております。
一男一女の母でもあり、週末には家族で畑を借りて野菜づくりをしています![]()
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今回の講座へのQ&A集+ご意見 ![]()
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Q:私たちの情報源はどうしても報道です。
気をつけていても報道は偏った形で情報を流していると思います。
大切な視点を学ぶことはできましたが、情報源をどこに求めるか
入手先を広げることは難しいです。どうしたらよいのでしょうか。
A:まず情報の入手には、「お金をかける」、「時間をかける」のいずれかの
コスト負担が生じることを覚悟しなければなりません。しかし一般には、
情報処理や入手した情報を加工することによって収入が得られないようならば、
あまりコストをかけて情報を入手することはお勧めしません。
マスコミ報道から得られる情報は、あまりコストがかからない分、
情報発信者の意図に影響を受けていたり、事実誤認があったり、
最新ではなかったりといったことが起こります。それを承知の上で、
メディア・リテラシーを身に着けて批判的に、
懐疑的に見ていくことを意識してくだされば良いのではないでしょうか。
情報を人より早く入手することも必要なことかもしれませんが、
深く追求することもまた大切なことです。そこで、マスコミ報道で仕入れた情報を、
関係省庁や関係者の発表も仕入れ、深く理解するようにすることをお勧めします。
なお、マスコミ報道以外にも、事件や事故に関しては
農林水産省や厚生労働省のメール配信サービスを利用したり、
技術系の情報は農業改良普及センターや関連する独立行政法人のメールマガジン、
業界団体のホームページなども活用できます。
業界の新聞(「水産養殖新聞」、「健康産業新聞」などという
超マイナーなものも・・・)なども役立ちます。
もちろん、さまざまな業界の方々と友好関係を築いて、
そこから情報を入手することもお忘れなく。
まずは、関係省庁のメールマガジン、メール配信サービスを
利用してみてはいかがでしょうか。
Q:藤井先生に聞きたいこと、ISOの事詳しく聞きたい。
事故リストに森永のハイチュウの事がなかったのは何故か?
A:ISOについては、長くなるので・・・詳細はまたの機会にさせていただきます。
簡単に申し上げますと、さまざまな商品の「国際的に統一された規格」です。
発祥は軍需、電気産業界から。
各国で別々な規格を使っていると、例えばネジが合わないだけで
米国製の戦車がヨーロッパの部品では修理できない、
ドイツ製のカメラを持ってブラジルに旅行しているうちにフィルムがなくなったので
現地でフィルムを調達したら、フィルム感度が異なったため露出オーバーで
何も写せなかった、ということが起こると不便です。
そうした不便をなくすため、さまざまな工業製品、周波数、感度などを
国際的に統一したのがISOです。
これを具体的な品物から、産業活動、人間の活動にまで広げていったのがISO9000、14000、22000などです。
9000は品質管理/保証/マネジメントのシステム(活動)、
14000はゴミ減量、エネルギー使用量の低減システム(活動)、
22000は食品安全性の管理/保証/マネジメントのシステム(活動)を国際的に
ルール化したものと言えるでしょう。
事故リストに「森永」の事件を挙げていなかったのは・・・とくに深い理由はありません。
単に忘れていただけです。
とはいえ、情報発信者である私の意図を、真意を探ろうとするご質問、
大変素晴らしいです。
これこそがメディア・リテラシーです。
何故なら私は、さまざまな企業のコンサルティングを行っておりますので、
それら関連企業の情報を、「意図的に」削除、除外しているかもしれませんから。
ちなみに森永製菓のコンサルティングは・・・行っていません。あしからず。
Q:何を一番信用して食品を判断したら良いのでしょうか?
A:自分の五感です。食べられるか食べられないか、
それも嗅覚、視覚、触覚、味覚をフルに活用すれば、
危ないものを口にすることは回避できるはずです。
購入するに際しては、食品表示だけを頼りにすることは避けましょう。
書かれていないことも多いですし、わからない表現も多いので、
必要な情報が入手できるとは限りません。
購入する際には、五感をフルに・・・というわけにもいきませんので、
信頼できる店舗、流通を普段から見極めておくことが大切かと思います。
売場で質問してみると、応対の仕方や持っている情報の量と質などが見えてきます。
もちろん売場の構成(野菜の冷蔵の仕方、アレルギー食品群の区分け、
日射の遮断など)、品揃え(国産/外国産の比率、値段の幅など)も判断の
ポイントになるでしょう。
Q:GMOをどうとらえたら良いか。
A:あらゆる技術には、良い面、悪い面が必ずあると理解した方が良いかと思います。
功罪両面を知っておくことが大切であり、その功罪を知っている、
説明できるほど理解した上で「好き」「嫌い」を言うことは構わないかと思います。
「好き」「嫌い」の感情と、「良い」「悪い」の判断は別物かと思います。
私の場合、GMOは感情的に賛成できません。
どちらかというと「嫌い」です。しかし、ポリオワクチンをGMO技術によって小麦に
持たせることができたら・・・それは素晴らしいことかと思います。
一方、商業的な理由で除草剤を散布しても枯れない大豆のGMO技術は、
環境汚染を拡大することにもつながりかねないので良いとは思いません。
技術とは道具であって、所詮は使う人間の「質」によって、
良い面、悪い面が入れ替わってしまうものなんだと理解しておいてはいかがでしょうか。
ご意見:
・衛生管理についてのお話が聞きたいです。
=ご期待に添えるように、今後のVMC連続講座では「衛生管理」を中心に、
展開させていただく予定です。
ご家庭での食中毒の防止、料理教室や小売店での衛生管理などを予定しています。
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