【東京】ワークショップ いちご
[ワークショップ いちご]
日時:平成21年1月23日(金)
講師:JA全農 園芸農産部 直販開発課 小沢幸夫先生
JA長崎 東京事務所 所長 泉 富男先生
会場:協会本部第三教室
今が旬のいちご、お店に行くと甘酸っぱい香りがしてきます。
種類もたくさんあり、味・香り・色・形も様々。最近では珍しいいちごが
話題にもなっています。この可愛らしいいちご達はそれぞれどのような特徴があり、
そして育てられているのか・・・。今回のテーマは可愛らしい「いちご」です。
JA全農 園芸農産部 直販開発課 小沢幸夫様 と
JA長崎 東京事務所 所長 泉富男様 を講師にお迎えして行われました。
まず、野菜・果物に携わる者、そして青果物について伝える者として
気をつけることがあります。私たちの一言で、産地がダメージを受けてしまうことも
あります。美味しさや味わいは人それぞれということを踏まえて、青果物について
説明し伝える必要があることを心にしておきましょう。
(いちごの歴史)
・アメリカ大陸の野生種をヨーロッパで交雑
・江戸時代にオランダから長崎に伝来
・日本いちごの元祖「福羽」いちごが明治32年育成され、静岡久能山麓石垣いちごで一世を風靡
・トンネルやハウスの加温施設栽培による4~5月の前進出荷が可能
・促成栽培技術向上による冬春いちご栽培の確立
・黄金時代 東:女峰(昭和60年) 西:とよのか(昭和50年)
・10年間で品種交代の時代、1県1品種傾向による産地ブランド化 (いちごの生産)
・春夏の四季成りいちごとハウス栽培による一季成りいちご栽培
・大玉生産による収量増加、高糖度化などによる高品質化への品種改良
・品種や気候にあった生産技術の向上
・販売形態の改良とクリスマス需要の対応
・生食需要と業務需要での使用特性の違い (生産地構成)
冬春:国内生産地
栃木県: とちおとめ(No.1)
福岡県: あまおう
佐賀・福岡県: ほのか
長崎県: 幸の香
夏秋:国内生産地
北海道: ペチカ・ほほえみ家族
東北地方: (例)山形:夏実 等
涼冷地: 長野:サマープリンセス / 山梨:かいサマー 等
世界の生産量(約350万t)
アメリカ 28%
スペイン 9%
ロシア 6%
日本 6%
韓国 6%
日本の輸入実績
アメリカ 約3700t
韓国 約 160t
(2005年実績)
(いちごの品種)
スタンダード: とちおとめ、あまおう、ほのか、章姫、幸の香 等
食べ比べ (私の感想つき、数字は糖度)
恋の香(長崎)・・・粒が小さめだが、艶がありしっかりとした硬さ 12
弥生姫(群馬)・・・甘い、まだ未熟感があり、タネが強い 11
美濃姫(岐阜)・・・シャリシャリとした食感 13
ゆめのか(愛知)・・艶がよい、甘いが酸味もしっかりある 12
肥のしずく(熊本)・酸味が強い、小粒 11
越後姫(新潟)・・・柔らかく熟度が増しており甘酸っぱく水っぽい 12
紅ほっぺ(静岡)・・種の窪みが深く、艶が他よりなく見える 10
みつこ(長崎)・・・色が浅く、酸が多い 12
さぬきひめ(香川)・熟しすぎ、口からすぐなくなる 11
桃苺(福島)・・・・水っぽく薄い味、酸もある 10
ホワイト(茨城)・・酸を感じず甘い、白に赤の水玉もよう 10
*種によって旬があり、状態が違うためあくまでも当日の私の感想です
【いちご栽培の現状】
(いちご栽培管理の流れ)
1. 親株専用苗を10~11月にプランターへ植え付け
2. 3月下旬より親株からランナーが発生し、小苗ができ、5~6月に鉢に受ける。
3. 6~7月にかけて定植ほ場の土作りを行う→ほ場が元気だと苗も元気になる
4. 苗の生長点に1番果の花芽ができているのを顕微鏡で確認し、9月中~下旬に
定植する。→花芽ができていないと、収穫が遅れる。日中の日が短くなり、
温度が下がると花芽ができる。
5. 10月中旬、マルチを被覆する。(果実が土で汚れないように)下旬にはハウスに
ビニールをかける。
6. 11月開花初めには果実を清潔にたもつため、マルチの上にさらにシートをかける。
7. 12月上旬、収穫開始。
8. 1月には1番果の収穫がおわり、2番果が肥大~開花となる。4~5番果房まで行う。
(農家経営の現状)
10a(300坪)、3.5~3.8t
単価 900~1000円/kg
販売金額 350万円(収益175万円)
労働時間 2200時間(平均サラリーマン2000時間)
時給 800円
*一般的に思われるより、利益がでない→398円のパックなら498円で販売してほしいとのこと
【長崎いちご】
(長崎さちのか)
“食べたら人に幸せを与える香りがする”
色が濃く(アントシアニン)、果肉はきめが細かく硬い→完熟まで収穫する必要なし
ビタミンCが豊富(「とよのか」に比べて3割多い)
品質や食味は年間を通して安定している。
しかし、玉が小さく、収量が上がりにくいうえ、タンソ病に弱い。(出回る品種の中で一番)
(タンソ病対策)
・地球温暖化により大発生した背景には夏場の気温の高さがある。
よって健康な親株を確保し、H16年より北海道で苗を作っている。
・ビニールハウスによる雨防止→泥はねが原因になるため。
水はねを避けるため、空中で苗栽培。 病気にかかった苗の
周囲1mを取り除く(農家)。
(収量・収益を上げる取組)
・土作り・・・よい根をつくることで苗が元気に働く。根が細かくデリケートのため、
定植前にも堆肥を与える
・摘果する・・栄養が分散せず、商品性の高い大玉となる
(栽培面)
・開花から収穫までの日数コントロール ゆっくりと日数をかけて積算温度(ハウス内)を
550~650度とさせられる1月下旬~2月上旬が特においしい。
その前後は酸味・甘みのバランスが悪いこともある。
・栄養成長と生殖成長のバランスを保つ
栄養成長=作物が体をつくる(例:ほうれんそう、小松菜、レタスなど)
生殖生長=子孫を残そうとする(例:スイカ、メロンなど)
同時に行う・・・トマト、きゅうり、いちごなど(農家にとって、管理が難しい)
* 長崎県の農家はバランスよく作ることを目指しているので、味のばらつきがない
『篤農家(とくのうか)』・・・作物と話が出来る人(農家)作物の様子が良く理解でき、
バランスよい作物を作ることができる農家
【まとめ】
全国に広がったいちごの品種。めったに食べられないものを頂くことができ、
感動しました。いちごについて調べていく中で様々な農家さんに出会い、
苦労やこれからの農業に対する思いなどをお聞きしました。野菜・果物を扱う仕事を
している私たちは川上から川下までトータルで考え、あらゆる角度から青果物のよさを
伝えられるようになりたいと思います。
ベジタブル&フルーツマイスター 杉浦 美紀
スガキコグループ秘書・広報を経て現在、野菜の総合商社㈱ベジテックにて
企画・広報を勤める。フード・カラーコーディネーター、フラワー・ブーケデザイナー、
プリザーブドディプロマを活かしながら、生活を豊かにするお手伝いをしています。
農家との取組みや農業体験などを社内外へ情報発信及び勉強会、イベントも主催して
おり、今後も青果物の生産から提案まで美味しさと情報をお届けしたいと思っています。



