【6/14大阪】ワークショップ 春獲りタマネギ レポート
6月14日(日)ワークショップ 春獲りタマネギ 11:00~13:00
大阪教室
日頃食べているタマネギについて詳しく知りたいと思い、
ワークショップの春タマネギ講座に参加しました。
講師は、種苗会社にお勤めの藤井康資先生です。
講義の後には、プロのシェフ松浦茂吉さん
に教えて頂けるタマネギ料理の紹介と試食もあるということで楽しみです。
教室に入ると、タマネギを刻む音が響いていて、
タマネギの香りが部屋中に広がっていました。
暫くすると、やや涙目に。。。そんな中で講義開始となりました。
もう、気分はタマネギ一色といった感じです。
◆講義内容
・タマネギについて
・タマネギの栽培について(秋蒔き)
・タマネギの食味と料理について
今回は、講義の合間に問題を入れるそうです。
とはいえ、「誰かに答えてもらうというと後が怖いので挙手という形をとります。」
とのことで、ほっと一息です。
◆タマネギについて
・ユリ科ネギ属
・ユリ科の中でも最も重要な野菜とされる。
・原産地 中央アジア(野生種は見つかっていない)
→シルクロードを通ってヨーロッパ、アフリカへと広がっていったそうです。
・家庭野菜御三家のひとつ(ニンジン、ジャガイモ)
→なんと言っても貯蔵がきくのが特徴です。
◆タマネギとネギの違い
問題:タマネギは、次のうちのどれにあたるか? ①葉 ②茎 ③根
答え:①葉 です。
タマネギは、鱗茎と言われている為、茎と思う人が多いですが、
葉鞘(鞘のように茎を包んだ葉の基部)が太った野菜で、ネギは、葉鞘が伸びた野菜です。
タマネギは、本当は葉野菜なのですが、八百屋さんでは、土ものと読んでいるそうです。
タマネギには、外側からケルセチン含有量が高いとされる保護葉、
そして、肥厚葉、鱗葉、茎の底盤部があり、それぞれに役割分担がある為太っているそうです。
◆タマネギの歴史
・エジプトでピラミッド建設労働者の強壮剤としてニンニク、大根と共に供給(賃金の代わり)
また、神聖なものとして魔除けに利用
→非常に貴重なものとされた。
・南ヨーロッパ(南フランス、イタリア、スペイン)で甘タマネギ、白タマネギが分化
・東ヨーロッパ(ルーマニア、ユーゴスラビア)で辛タマネギが分化
→この、甘タマネギと辛タマネギが、二大勢力と言われています。
・16世紀になってアメリカで多彩な品種分化
◆日本への伝来
・江戸時代に南蛮船で長崎に伝わるが普及せず。
理由:ネギがあったから
・北海道開拓使がアメリカより品種導入(明治4年)。札幌黄(春蒔き)ができる。
・明治18年大阪(泉州地方)にアメリカより品種(イエローダンバース)で秋蒔きが導入。
普及のきっかけはコレラに効くとのうわさからでした。
◆タマネギの色と性質
タマネギには、大きくわけて3種類あるとされています。
・黄色(全体の7割):辛タマネギ。一般的に辛いタマネギが多く、貯蔵性はよい(極早生除く)
・赤(紫)(全体の2割):辛味が黄色に比べて少ない。貯蔵性はあまりよくない
・白(全体の1割以下):甘タマネギ(?)美味しく肉質がわらなかいが、
栽培が難しく、貯蔵性は低い。 →中には辛いものもあります。
白はマイナーな為、品種も少ない。
◆タマネギの栄養素
・糖分:イチゴと同じくらい含有
→辛いものでも、糖度7~8度はあります。
・タマネギの臭い:アリイン(無臭)がアリシンになるとネギ臭を発する。
→アリシン=ネギ臭
・アリシン:ビタミンB1と結合しアリナミンになる。
・涙を出す成分:チオプロピンアルデヒド
・ケルセチン:古代からペルシャ織物の染色に利用。
タマネギの皮に含まれる色素(フラボノイド)の一種で血圧を下げる、
血管を丈夫にする効果があります。
→皮を煮出して飲むとガン予防になると言われています。
◆タマネギの栄養(現在)
ここからは、タマネギの栄養素についてかなり、難しい話となりました。
タマネギに含まれている硫化アリル(制菌作用、殺菌作用を有するものもあり、
健胃、整腸、発汗、強壮)の一種であるアリイン自体は無臭ですが、
アリナーゼという酵素によって加水分解されることによってアリシン(ネギ臭)になります。
アリナーゼは、切ることによって出ます。
これが、炭水化物の分解や筋肉への神経伝達の手助けとなる
ビタミンB1と結びつくことによってアリナミンとなります。
又、アリシンになる際に同時に辛味成分であるスルフィン酸ができ、
酵素と結合し涙を出す成分であるチオプロピンアルデヒド=チオプロパノールとなるのです。
ここで30分放置する事によって、
酵素が加わりプロピルメチルジスルフィド(血液さらさら成分)となります。
15分よりも30分放置することによって、酵素が十分に働いて血液さらさら成分となるのです。
又、チオプロピンアルデヒドを加熱することによって
甘み成分と考えられるプロピルメルカブタンとなります。
※プロピルメチルジスルフィド:水に流れやすいので水にさらさない
問題:アリシンは加熱調理後どれだけ残るか?
答え:パーセントはわかりませんが、
タマネギのしゃきしゃき感が残る程度に調理するのが望ましいと言われています。
◆ネギ族のアリインの種類と量(最新)
ここからは、藤井先生が話すのをやめようかと思ったというほど、
かなり頭がこんがらがってしまう話となりました。
最新の研究で、アリインはニンニクやニラに多くあるが、タマネギにはないというのです。
それでは、先程の話と食い違うことになってしまいます。先生の説明によると、
タマネギには異なる種類のアリインが入っており、アリインの種類の違いが、
ネギ属の味の違いにもなっているのではないかとのことでした。
栄養は日々進化しているため、今後の研究結果が楽しみです。
◆タマネギの栽培データ
・栽培面積:23600ha (平成18年)
・収穫量:1,123,000t (キャベツ、大根につぎ3位)
・産地 :北海道(54%)、佐賀(14%)、兵庫(9.6%)、
愛知(3.4%)、長崎(1.8%)など
東京市場の月別出荷量では、9月~翌3月までは北海道産が、
4月~8月までは佐賀県産がほとんどです。関西では兵庫県産を思い浮かべますが
、実際は機械化が進んでいる北海道や佐賀県産に比べ、面債も少なく機械化も遅れている為、
東京市場にはほとんど出回りません。現在、淡路島はレタスでシェアを伸ばしています。
◆タマネギを取り巻く現状
・栽培面積、収穫量は減少傾向(昭和50年 29,900ha)
→現在約6,000ha減少しています。
・理由:重労働である →タマネギは非常に重いため
機械化の遅れ
輸入が容易な作物である →貯蔵性が高い
(輸入量:270,415t H16)アメリカ、台湾、中国、ニュージーランドなど
◆タマネギの栽培形態
・国内作型
秋蒔き春獲り栽培 九州~東北
春蒔き秋獲り栽培 北海道
・栽培形態
苗を育成し本田に定植(移植)する
苗床:土床と育苗トレイ(機械移植用)
・海外 直接種子を蒔く(直播)、機械収穫
海外では、タマネギを多く収穫するために面積を増やし、
種を蒔いて水を流して太らして終了といった栽培方法なので、
簡単でコストがかかりません。
◆タマネギの生育
・日長と気温の上昇で肥大が始まる
・肥大は、葉鞘(鱗茎)の枚数と厚みの増加による
・同じネギ属のニンニク、らっきょうも同様です
◆品種の成り立ちと特性
タマネギの結球には、日長と温度の二つが揃わないと太りません。
逆に言えば、この二つが揃うと太るという事になります。
という事は、収穫日が予測できる為、逆算して種を落としていくといい事になります。
札幌黄は、結球日長14.25時間で、結球温度は25℃の為、
北海道では、春にしか蒔けない為、春蒔き秋獲り栽培という事になります。
◆品種の熟期と傾向
・極早生~早生:早出し用。いわゆる新タマネギは肉質がやわらかい。
サラダ用などに利用される
あまり長持ちしない。
・中生~晩生:貯蔵性のよい品種。
貯蔵系の品種は貯蔵中に糖分が増加し甘くなる。
◆タマネギの栽培
・収穫:球が肥大し葉が倒れた頃が収穫の目安 →休眠の合図です。
・出荷:早生種:天日乾燥後に出荷
中生種:貯蔵もしくはすぐに出荷
晩生種:つり球乾燥後、冷蔵庫で貯蔵
・乾燥方法
強制通風乾燥(乾燥機使用)← これがほとんどです。
つり球乾燥(つり球小屋使用)
問題:タマネギの葉が倒伏するのは休眠(種を保存するため)ですが、
葉が倒れた後もタマネギは大きくなるのでしょうか?
答え:大きくなる。
休眠というので、てっきり大きくならないと思ったのですが、
タマネギの葉が倒伏しても葉は緑でまだ光合成をしていて栄養がいきわたるとのことでした。
◆タマネギの食味と辛味
・タマネギの辛さはスルフィン酸によるものでピルビン酸の量を指標として辛味をはかる。
・スルフィン酸(ピルビン酸の値)が少ないタマネギがおいしいタマネギの指標となる。
・辛味を抑えたマイルドタマネギがサラダ、生食用に向く。
甘タマネギを作ることは難しくありません。
辛味をおさえる事によって、甘みを出すようにすればいいからです。
講義の後は、タマネギ数種類の展示と、
プロのシェフであります松浦さんの美味しい料理を頂きました。
スライスしたフランスパンの上に、それぞれ三種類の具材(「ひいかと玉葱の炒め物」、「エスカリバータ」、「塩ダラのサラダ」)をのせた美味しい料理でした。どれも味が異なり、美味しく頂く事ができました。又、本場バルセロナのパエリヤのレシピまで教えて頂いて、満足したワークショップでした。
◆まとめと感想
タマネギは、何より貯蔵性が高い野菜であり、
私達の日常に欠かせない野菜の一つでもあります。
昔から貴重で、神聖なものとされてきました。
日本でも栽培されてきましたが、現在では収穫量が減少しています。
その原因として、日本の耕地面積は狭いため、
いいものを確実に収穫するためには苗床から定植する必要がある為手間がかかります。
又、タマネギは重いため収穫するのはかなりの重労働です。
最近では、機械を導入していますが、機械は定植専用、収穫時の堀上専用と一台ではすみません。
海外では、土地が広く直播きで大量に収穫でき、貯蔵性が高いため輸送にも問題がありません。
結果、輸入物が増えているという現実がありました。
私達がいつも食べているタマネギは、生産者の方々の努力によって美味しく食べる事ができます。
又、栄養素についても、ケルセチンを始め、いろんな成分に注目されており、
現在もまだ研究中ということですので、是非今後も注目したいと思いました。
タマネギについて普段知ることの出来ない事を学ぶ事ができ、美味しい料理まで頂き、
本当に充実した時間でした。これからも、もっといろいろと勉強していきたいと思っています。
ベジタブル&フルーツマイスター 真鍋 令子
日頃から、食生活と健康について興味を持っており、
今年5月にマイスターを取得しました。
今後はもっと栄養についても勉強し、
野菜・果物を食べることの大切さを伝えていきたいと思っています。


