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【5/29大阪レポート】気になる有害物質の話

気になる有害物質の話
「毒」ってなんだろう?
「害」ってなんだろう?
科学的な視点とメディアリテラシー

日 時:2010年5月29日(土) 17:00~19:00
講 師:株式会社 農水産ID 藤井淳生 先生
会 場:日本野菜ソムリエ協会 大阪教室

首都圏で大人気、藤井先生のセミナー。

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関西のVMCでは、初お目見えだったのではないでしょうか。
私もずっと参加したかった企画なので、真っ先に申し込みました。

藤井先生は、ジュニア野菜ソムリエの「ベジフル入門」、シニア野菜ソムリエの
「青果物のケーススタディー」の講師を担当されていらっしゃる方。

鋭い眼光にスキンヘッド、その風貌はちょっと強面(こわおもて)です。
先生曰く、大阪で地下鉄の座席に座っておられると、両隣は必ず空席になるとか。。
先生と初対面の人たちも、ちょっとビビッている様子?

でも、先生がハギレのいい語り口でお話を始めると、皆さんすぐに
そのお話に引き込まれていきます。

■農薬について
「農薬」と聞くと、ともすれば、「農薬性悪説」とでもいうか、内容を吟味せず、
全てに拒否反応してしまいがち。。
一般的に、イメージだけで判断してしまう傾向にあるようです。

農薬を是とするにしても非とするにしても、きっちりとその功罪を見据えた上で、
判断していくことが問われると、先生は語られます。

例えば、「功」の側面を見てみると、
1.「不毛の地」を農地に変える働きを果たし、人口の増加をもたらしたこと。(緑の革命)
2.農薬の使用によって、食中毒・カビ毒・異物混入のリスクの低減が期待できること
→ などから、「農薬」 によって、ある種の 「安全性」 が高くなるケースもあること

次に「罪」の側面を見ると、個体(ヒトの身体)、環境ともに、
1.不完全な代謝物質のトレースが不可能なこと
2.無毒化・無力化の方法が未解明なこと。
3.単体でなら安全性は解明されているものでも、複合的な作用については、
保証し得ないこと。

自然なものだから、「安全」なのではなく、「自然毒」、「害虫」、「病原菌」など、
キケンなものもいっぱい。
要は使い方と分量の問題であり、そのコントロールが大切と先生は語られます。

人工的なものであれ、天然であれ、世の中に「毒」でないものは存在しない。
それは、農薬しかり、天然生成物しかり、口の中に入れるものしかりです。

生きていくために不可欠の酸素ですら、過剰な濃度となれば、人を死に
至らしめる毒性を持ちます。
包丁はとっても便利な道具ですが、使い方次第で、人を殺める凶器にもなります。
それは、全てにおいて同じことと、わかりやすくご説明してくださいました。

■添加物について
話題は、「添加物」に移ります。
「添加物」というと、「農薬」同様、いわゆる「性悪説」で、語られがち。
私も食品を買う場合、添加の有無や度合いは、選択基準のひとつ。
それは受講後も変わってはいないのですが、一面的に見てはいけないとの思いを新たにしました。
やはり、添加物も功罪両面から見ていくことが必要だと、先生は説かれます。

◇「無添加」に期待できること
1. アレルギー性疾患など、未解明疾病・現代病の減少
2. 社会不安、未来への不安の軽減
3. 昔ながら、手作りなどの情緒性の醸成
4. 人類生存環境の維持(添加物には環境ホルモンの問題や長期利用の未解明性がある)

◇ 「無添加」だと懸念されること
1.保存性・保存期間の低下による食品廃棄物の増加
2.食中毒の増加(腐敗や病原微生物の増殖、自然毒の生成など)
3.経済性や販売不振
4.「ゼロリスク商法」の増長、リスク評価の自己責任能力の低下

適量なら有益、過剰なら毒。
それは、農薬を含む薬しかり、食品添加物しかり、栄養素しかり、です。

私は栄養士ですが、栄養素や機能性成分も同じことだと、常々語っている立場として、
先生のお話は、実に示唆に富んでいます。

■都市伝説や「思い込み」について
今一度、農薬の話に戻りますが、「無農薬栽培は安全か」と題されたスライドで
ご案内いただいた例も衝撃的でした。
「無農薬栽培したリンゴは、慣行栽培のリンゴに比べて、アレルゲン物質が多いという
実験結果がある」とのこと。(2005・2006年 日本農芸化学会定期大会で発表)

先生のおっしゃるとおり、植物は外敵やストレスと闘うために、その体内で防御物質を
作っており、それは人に作用する可能性を持っています。
それは人に有害かもしれないし、有益かもしれない。未解明な部分が多々あります。

確かに、植物に含まれるある種のアルカロイドは、強烈なレベルで両面持っているし、
分量や摂取する側の個体差も関係するでしょう。
安易な断言は禁物だなと、改めて考えさせられた事例でした。

まことしやかに流布される採算を度外視した「都市伝説」にも要注意。
某社のハンバーガーのパティはミミズでできているとか、魚の目は鮮度をごまかすために
加工されているとかetc、。。
農家さんはとかく農薬を「やたら大量に」使いたがる、というのもそう。
おっしゃるとおり、冷静に考えると、そんな不経済なこと、しませんよね。

■メディアリテラシーについて
また、マスコミ報道に翻弄されないようにと、警鐘を鳴らされます。
先生が全編を通して強調されたのは、科学的な視点をもつこと。
思い込みや先入観に左右されず、どういう立場を利する情報なのかを見定める力を培うことの
重要性を語られます。

情報収集にしても、自分に都合の良い情報ばかり集めるという傾向になりがちですが、
それは戒めるというスタンスを持つことが大事。

メディアについても、鋭い舌鋒で語られます。
とかく、「センセーショナリズム」や「誇張」、「飽きっぽさ」などが多く見受けられ、
「専門知識がなく」、「怪しげな学者や評論家に依存」したり、「わかりやすい二分法」に
終始しがちなメディア。
惑わされることなく、冷静に向き合うこと、いわゆる、「メディアリテラシー」※を
確立する必要性を説かれます。

※ メディア・リテラシー(英: media literacy)
情報メディアを主体的に読み解いて必要な情報を引き出し、その真偽を見抜き、
活用する能力のこと。「情報を評価・識別する能力」

情報は鵜呑みにしない。本当にそうなのかと疑いをもつこと。
それは「僕の言うことも」とおっしゃるところに、先生のフェアな精神を窺うことができます。

■おわりに
そして、最後に「あなた」がどうするかという点について。
先生は、その判断をあくまでも参加者一人ひとりに委ねられます。
「好き」か、「嫌い」かは、「感情」の問題。
「許容する」、「容認しない」は、「知見」の問題。

そう言われつつも、先生は必ずしも、「感情」が下位で、「知見」が上位、というお立場では
ないようにお見受けします。
(ご自身の圃場では、無農薬。好きか嫌いか、経済性の問題も含めて、選択されているとのこと)

感情も大切なこと。
ただ単に、無条件に感情に支配されるのではなく、またはトレンドに流されるのではなく、
科学的知見を踏まえた上で、あえて選ぶなら選ぶ、選択する!
そういったスタンスが問われているような気がします。

ことさら、野菜ソムリエとして、人にお伝えする立場であれば、大切にしなくてはならない、
重要なスタンスなのではないでしょうか。
お言葉ひとつひとつが、ズシリと胸におさまりました。

あっと言う間の2時間でした。
初めて先生のお話を聞いた方は、それこそ、「目からウロコ」の思いをされた方も
多かったのではないでしょうか。
質問も相次ぎ、もっと続きを、もっとテーマを掘り下げてお話を伺いたい、
教室には、そんな熱気が最後まで溢れていました。

藤井先生、ありがとうございました。

※レポートは、先生のお話のごく一部より構成しています。
 不十分な点も多々ありますが、ご了承ください。
 今回ご参加できなかった方々へ。
本当に為になるお話でした。次回の機会があれば、是非ご参加くださいね。

【レポート作成者 民野 摂子】
野菜ソムリエ。管理栄養士・健康運動指導士。
「素材に力があれば、シンプルな料理が美味しい」、がモットー。
食育セミナー、青果物の販促、料理教室の講師、レシピの執筆、特定保健指導などに従事。
「日常からの食育」、「健康をトータルコーディネート」する、野菜ソムリエを目指しています。