【10/11大阪】里山の栗の力
「里山の栗の力 伝えます」レポート
秋の味覚、栗の講座です。
教室に入りみなさんと挨拶もそこそこに、前のテーブルに並んでいた、
たくさんの品種の栗が目に飛び込んできました。
あっという間にテーブルのまわりに人が集まり、始まる前から質問攻めとなりました。
栗好きが集まり、和気あいあいとした雰囲気で講座が始まりました。
シニア野菜ソムリエである北裕子先生は、ご実家が和歌山県海草郡紀美野町にある
「紀州マルイチ農園」さんで、過去帳によるとなんと農園についての記載は1711年とあり、現在は弟さんが第13代園主として継がれており、北先生もご実家の農園と農園を通しての地域興しのためにがんばっておられるとのことでした。
この日は
①栗自身の力‐栄養価
②農園について
③農園を通しての地域興し
この3点を中心にお話をしてくださいました。
まず栗について。
栗はブナ科の落葉樹で、日本栗は日本が原産。
歴史は古く、縄文時代の遺跡から出土しているそうです。
平安時代初期には、丹波(京都)地域で栽培され拡大していきました。
ちなみに丹波栗という品種はなく、
品種は味も良く実も大きくなる銀寄あるいは筑波だそうです。
毎年丹波栗を買いに行く私ですが、うーん、これも知りませんでした。
この地域は寒暖の差が大きく、おいしいものができるそうです。
残念なことに栗も例外でなく高齢化などにより、
2009年の統計では収穫量が前年比14%も減っているそうです。
おもしろいことに、東京は面積的には多くて、
これは荒れた土地をそのままにしておくよりは栗の樹でも植えておこうということらしく、
栽培して出荷するというレベルではないのですが多いそうです。
気になる栗情報!
栗は老化防止(アンチエイジング)に欠かせない大切な食品として注目されているそうです。
よく果実類に分類される栗ですが、
クルミやアーモンドと同じ種実類なので植えると芽が出てくるそうです。
栗は冷蔵庫でかなり保存できるのですが、
ずっと置いておくと冷蔵庫の中でも芽が出てくるそうです。
これには一同驚きで、絶対一つやってみようと盛り上がりました。
芽が出るなんて種である栗にはバランスのいい養分がたくさん含まれているのも納得です。
それと、同じ種実類のクルミやピーナツなどに比べて脂質やカロリーは少なめで、
栗には炭水化物が多く含まれており、
これが糖に変わっていき甘味を増していくということでした。
ビタミン類も多く、特にビタミンCはでんぷん質に包まれているので壊れにくく、
体に効率よく吸収されるそうです。
じゃがいもと同じですね。
疲労回復を促すアスパラギン酸、渋皮にはポリフェノールの一種タンニンが含まれ
抗酸化作用があります。
漢方でも栗は「温性」で身体を温めるので、
内臓の働きを高め滋養強壮に効くそうです。
身体を温めると血行が良くなるので、
この点でもアンチエイジングにいいんでしょうね。
さて、お待ちかねの試食タイム。
「紀州マルイチ農園」さんでは
早生―森早生、丹沢、国見、伊吹
中生―筑波、有磨、銀寄、利平
晩生―石鎚、岸根
など13品種を栽培されていますが、
今年の夏は猛暑で雨も少なかったので2週間ほど収穫が遅れているそうです。
早生種は生のまま冷蔵保存しておいたものを持ってきてくださいました。
試食はうわさの新品種「ぽろたん」も!
渋皮が剥けやすく半分に切ってトースターでやいて食べられると新聞か何かで読んだことがあるのですが、
北先生がおっしゃるには切りこみを入れるとかアルミで包むなどしてやいてもいいのでは?
とのことでした。
本格的に店頭に並ぶのはまだまだ先になりそうですが、今から楽しみです。
朝からたくさんの種類の栗を茹でてきてくださいました。
うーん、見事にそれぞれ味も食感も違う!
あっさりしたものもありましたが、冷蔵保存しておいた早生種に甘味がでているのには驚きでした。
そういえば北先生が「ニューくりくり坊主」なるものを取り出し、
生の栗を剥いてみせてくださいました。
実家の母も似たようなものを使っていたような・・・。
「ニュー」が付いているということは更に改良されているのでしょうか。
同じようなタイプがいろいろ出ているそうですが、かなり剥きやすいそうです。
栗の最大の難点は剥くのが大変なところ。
簡単に剥けるものがあると、栗を食べる人がもっと増えるかもしれませんよね。
その他、剥き方、茹で方、保存のそれぞれのこつも教えていただきました。
渋皮煮を作っておいて、一つ一つアルミに包んで冷凍しておけるそうです。
こうして冷凍しておいたものをお土産にいただきました。
食べる分だけ出してきて自然解凍したらいつでも手軽にお茶うけになりますよね。
素朴な疑問。収穫後イガはどうするのか質問すると、もちろん捨ててしまうものもあるし、
畑に残しておいて土にかえり堆肥にするものもあるとのこと。
他にも焼き物の釉薬として貴重がられており、また染物にも使われるそうです。
栗の樹自体もタンニンが含まれていて腐りにくいので家具などに加工されたり、
昔は天井裏に並べてねずみ除けにしたりと捨てるところがない色々な可能性を持っているところも栗の力だとおっしゃっていました。
先生の農園では基本的に除草剤は使わない主義。
ただ栗のシーズンだけは草がぼうぼうだとどこに落ちているか分からないので
収穫の大分前に一回だけされるそうです。
今年は特に雨が少なかったので消毒を全然しなかったそうで、
結果、無農薬でできたということでした。
また、先生の農園では経済樹齢を超えてもいいものができるそうで、
その理由としては気候がいいことや、除草剤を使わない、
自然に優しい農法をすることで樹も元気でいたいと思ってくれる・・・
そういう栽培がうちの農家としてのあり方であるということを大事にしていきたい。
「地力」を信じて作りたいとおっしゃっていました。
6月中旬すぎには栗の花が咲き、小指の先くらいの小さなイガができるそうです。
ちょうどその頃、農園にはササユリも咲き始めるということでした。
ササユリが自生する里山は減ってきていて、
近畿大学の植物関係の方たちとタイアップして、
ササユリの保存に関する研究をしていこうとプロジェクトを進めているそうです。
ご実家の農園のためだけではなく、地域のため、里山のため、
精力的に活動されている北先生のお話を聞いて、
改めて素晴らしい日本の里山というものについて考えさせられました。
私にとって有意義で楽しいあっという間の2時間でした。
ありがとうございました。
レポート作成者:吉田 眞理(野菜ソムリエ)




