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【福岡】野菜の「安全・安心」って、何だろう!~GAP(適正農業工程管理)を学ぶ~

野菜の「安全・安心」って、何だろう!~GAP(適正農業工程管理)を学ぶ~

日時 : 2011年5月20日(金)
講師 : 福岡大同青果株式会社  寺田秀三氏(JGAP審査員)       
場所 : 協会本部福岡教室

ジュニア野菜ソムリエや野菜ソムリエのテキストにも出てきたGAPについて、
もっと深く知りたくて、今回、初めて講座に参加しました。
参加者も20名以上もあり、大分県から来られた野菜ソムリエさんもいらっしゃいました。


GAPとは

GAPとは「Good Agricultural Practice」の略語で「よい農業のやり方」という意味です。
元々は国と国とがつながっているヨーロッパから起こった概念で、統一した安心・安全の
基準を作ろうという動きから始まりました。

日本ではNPO協会が認証を行っており、現在、大小あわせて約1046農場において取得されているようです。http://jgap.jp/


GAPの目的

農家は栽培管理の記帳を行っていますが、安全衛生管理面においては、どれも自己流で行っているのがほとんどです。
GAPの目的は、「問題が起こらないことを未然に防ぐこと」や「仕入先管理」にあり、
農業における危害要因を予測して、各作業においてプロセス・チェックを行います。
そのチェック事項は129項目あり、収穫調整の際の手洗いの徹底や作業場の整理整頓といった基本的なことから、土壌検査の証明書や農薬の使用基準の遵守など含まれています。

しかしGAPとは、「あれはダメ、これもダメ」といった禁止事項を主体にしているのでは
ありません。
現状を正しく認識して、それを改善する提案型を目標にしているのであり、「農家の顔写真がパッケージに載っているから安心安全」といったイメージではなく、第三者から判断された根拠ある安心安全を目指しています。

GAP認証を受けた農家からは、「農業経営に関する意識が変わった」とか「今まで以上に仕事にプライドが持てるようになった」と、メンタル面での意識向上が現場から聞こえてくるようになったとのことです。


GAPにおける問題点

GAP認証を取得するには129項目の危害要因をクリアーしなければならず、認証チェックするだけで4時間以上もかかるそうです。
またGAP認証を受けたからといって、認知不足の面もあり、生産物の取引価格に大きな差はないのが現状です。
認証も個人や圃場ではなく、作目による認証なので、特定品目をたくさん作っている農家や部会でないと取得されていないのが現状です。

認証取得をするのにかなりの費用がかかりますが、販売価格に大きなメリットがありません。
もっと生活者のみなさんに認知されれば、差別化を図れるのではないかと思います。


今後のGAPの展開について

2011年の3月に起こった東北大震災で、福島県の原発事故による放射能汚染が話題に
なり農畜産物などの風評被害が取りざたされています。
現状では、GAPにおいて放射能汚染による検査は、チェック事項にはなく、今後は
チェック事項に含まれるだろうと寺田さんは言われていました。

この未曾有の出来事は、私たちの価値観を変えるものなんだと、改めて痛感しました。



個人的な感想

僕は直売所に少量多品目で主に出荷をしている農家なので、GAP認証の取得は考えて
いません。「人の口に入るもの」という認識で栽培をしているので、栽培管理には気を
使っています。
特定品目を大量に収穫・出荷することは、農業経営において効率的な利益になりますが、
僕のモチベーションとしては、食べる側と作る側が「会える」関係を大事にしたいと
いうことに重きをおいています。
曲がった大根や虫食いのキャベツは市場には出荷できず、廃棄するのが現状ですが、
味は同じです。愛情をこめて育てた野菜を捨てなければならないのは、とても悲しく
思います。
曲がった大根を捨てるより、それを理解してくれる人に食べてもらえるような世の中に
なって欲しいと思っています。
しかし、そんな個人的なスタイルでは、この世の中は上手く回っていかないことも
分かっています。
農家が129のチェック項目をクリアーした安心安全も大事だと思いますが、
食べる側と作る側の信頼関係をもっと築くことの方が、食べることを大切にできる
世の中になるのではないか、と今回の講座で考えるきっかけになりました。

レポート:野菜ソムリエ  山本 喜世憲