【東京】『今、考える 日本の食と農業』
開催日時:6月17日(金)
場 所 :協会本部渋谷A教室
講 師 :野崎洋光さん(分とく山総料理長)福島県中通り出身
藤田浩志さん(野菜ソムリエ)福島県郡山市在住
福島県の農家の生まれの野崎さんより、
幼い頃の経験も交え、本来農業とはどのようなものであったのか、
また、被災地福島の現状から読み取れる今私達がすべきことをお話いただきました。
≪現代人は情報だけで歩いている≫
今回の震災で明らかになったことは、『私達は原発について何も知らなかった』ということ。
メディアが言った言わないに左右され、物事の本質を見落とし、情報に操られている。
例えば、なぜ人は危険なリアス式海岸に住むようになったのか。
それは、湾が入り組んだ海岸では魚がよく獲れ、裏の山では畑作ができたから。
自分自身で食糧の調達ができる環境であったため。
しかし、物流の発達した現代では、どのような場所であっても欲しい物は容易に手に入る。
このような便利な環境で生きるうち、『なぜそうなったのか?』という背景を考えないようになってしまった。
自分の“はかり”で物事を見なくなってしまった。
また、『東北の人は味付けが濃い』と一般的に思われているが、実際はどうなのか。
その他にも、昔のご飯の炊き方が『はじめちょろちょろ、なかばっぱ・・・』と言われてきたのは、
なぜか。竜田揚げは、なぜ竜田揚げというのか。等
現代人は、情報やそれによる先入観に左右されるようになってしまった。
情報に振り回されないようにするためには、物事の仕組みを理解し勉強しなければならない。
そして知識だけではなく、自分の体で感じなければならない。
≪農業とはなにか≫
現代では、農業はあまり良いイメージが持たれなくなってしまった。
しかし、本来『百姓』とは『百の職業ができる』という意味である。
百姓は藁で蓑や草鞋を作ったり、簡単な小屋を建てたり、その日生きていく分の食糧を収穫し、
自分達の力で衣食住をまかない生きてきた。
農家とは、生きるための術を知っている人であり、自分で強く生きられる人である。
そして、農業とは知恵の積み重ねであり、培われた技術のある進んだ文化と言える。
≪被災地にとって今後どのような支えが必要なのか?≫
これまでは、『生きること』が最優先であった。
しかし、これからは街の復興と共にコミュニケーションがなくなってしまうおそれがある。
したがって、コミュニケーションがとれる、小さくコンパクトな街づくりが必要になってくる。
そして、被災地の方に【声】をかけてあげることが大切である。
≪野菜ソムリエに向けて一言≫
料理を最も美味しく食べるには、好きな人と食べることが一番。さらにはコミュニケーションをとることが大切。
野菜は、豊かな色を作り出し食卓を鮮やかにしてくれる食べ物なので、
もっとコミュニケーションツールとして使ってほしい。
≪郡山市で農業を営む野菜ソムリエ 藤田さんより福島県の農業の現状について≫
1、震災による直接の被害
沿岸部のへ津波の壊滅的被害のほか、あまり報道はされていないが、内陸部の
貯水池の決壊・水路の破損による被害が甚大である。
2、東京電力福島第一原発事故による被害
実害としては、警戒区域等の作付不能による損害や出荷制限・摂取制限による損害
があげられる。それに加え、震災前に出荷されたものでも売れないなどの風評被害も実際にあった。
◎今後考えられる影響
シーズンを迎えつつある果物・観光農園への風評被害や実害と、福島県の最大の生産物である
水稲への風評被害や実害があげられる。さらに、今後新たに出荷制限、摂取制限がだされた場合による
被害も考えられる。
また、日々の屋外作業による健康への影響や損害賠償の算定困難、そしてそれらによる
精神的負担がますます増大する可能性が高い。
震災以前は福島への視線は無関心・低関心であったが、震災後は(ネガティブではあるが)
強烈な関心がよせられている。
藤田さんは、この逆境をチャンスととらえているとのことでした。
そして福島農業の復興・再生に向け進んでいこうとする力強さが印象的な方でした。
レポート作成:野菜ソムリエ 清水川絵美
「プロフィール」専業農家の家に生まれ、新鮮な野菜の美味しさをもっとたくさんの人に
知ってもらいたいと思い、野菜ソムリエの資格を取得。
将来的には自身も農業に携わり、生産者野菜ソムリエとしての活動を目指しています。








