【名古屋】放射線汚染と野菜、人体への影響について2
●日時:2011年5月20日(金)18:30~20:30
●講師:藤井 淳生 先生
日本野菜ソムリエ協会
ジュニア野菜ソムリエ講座およびシニア野菜ソムリエ講座講師。
千葉大学園芸学部農芸化学科卒業。
ISO9000、ISO14000、ISO15161審査員資格取得。
JONA事務局(国内最大の有機農産物等の認定機関)の有機JAS認定検査員。
株式会社農水産ID所属。
●場所:協会本部名古屋教室
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前回の東京開催のライブ中継に続き、第2回目は名古屋での開催が実現しました。
藤井先生のご自宅のある千葉県八街市では、お茶、牧草以外に出荷制限は出ていないのにもかかわらず
全く野菜が売れない状況だと嘆いていらっしゃいました。
冒頭に「今回、安全か危険かの話はしません。
食品の安全の基準はひとりひとり違います。判断は自分でしてください。
野菜ソムリエとは自分で判断できる人であると思っています。」
と話されました。
《授業内容》
1.福島第一原子力発電所の事故
【事故の概要】津波による水没
電源遮断→冷却不能・一部メルトダウン→燃料棒破損→水蒸気爆発→建屋損傷→
放射性物質の漏洩→住民避難→周辺環境への汚染拡大(レベル7)→
冷却システム回復作業、電源修復作業等継続
【チェルノブイリ事故との比較】
チェルノブイリの事故は核爆発を起こし、放射性物質が大量拡散
福島の放射性物質量はチェルノブイリの約1/10の量
チェルノブイリ級の事故ならば、東北・関東だけではなく中部地方も汚染地域?
【放射線物質の汚染範囲】
放射性物質のほとんどが水に溶けて、タービン建屋や発電所敷地内に存在
建屋外に漏れた放射性物質は、放射線とは異なり、あるところだけ(あちらこちら部分的に)ドサッと広がる。
2.放射線と放射性物質/「ヨウ素131」「セシウム137」
【放射線と放射能の基礎知識】放射線・放射能は自然界の一部
放射線とは・・・テレビの電波のようなエネルギーの波
放射能とは・・・放射線を出す能力のこと
【ベクレルとシーベルトの違い】
ベクレル(Bq)・・・放射能(放射線を出す能力)の強さを表す単位
シーベルト(Sv)・・・放射線が照射された量を表す単位
【ヨウ素131とセシウム137】
自然界には存在しない放射性物質。ヨウ素131とセシウム137は、人体に取り込まれやすい放射性物質とされている。体内に入ると細胞内に入り込む可能性があり、放射線を出す。
半減期 ヨウ素131は8日、セシウム137は30年
※半減期とは、放射性物質が放射線を放出し、放射能が半分になるまでの期間のこと。
3.「放射線」を浴びる・・・とは?
【日常の放射線】
自然界から年間約2.4ミリシーベルトの量を被ばくしている。
内訳 宇宙から0.38 空気中から1.3 大地から0.46 食物から0.24 (単位はミリシーベルト/年)
【外部被ばくと内部被ばく】
放射線源が外部にあるか、体内にあるかの違い。
人体の中の自然放射能(カリウム40,炭素14,ルビジウム87)は体重60Kgの人で7,000ベクレル以上
【人体への影響】
チェルノブイリ事故被ばく者の間で、小児甲状腺がんが多発した一方、白血病の増加はなし。
放射線を一瞬で浴びた場合(原爆被ばく者)は、がん死亡率を8%程度増加させるが、低線量率放射線の
長期被ばくは、がん死亡率を低下させるという疫学研究結果がある。
4.基準値は有効か?
【生物濃縮は生じるか】
放射性元素の生物濃縮(食物連鎖上位汚染)は、原則的に起こらない。 セシウム137等は、放射性物質だから濃縮されるのではなく、金属元素だから濃縮されている可能性がある。
【暫定基準値の決め方】
1986年10月、チェルノブイリ原発事故の影響を受け、ECの基準などを参考に輸入食品に対する基準値を定めた。
この時の野菜の放射能制限の基準 7,400Bq/Kg (現在の出荷停止は2,000Bq/Kg)
【日本の原子力/放射線管理】
原子力について検討する組織のみ。区域外に汚染が拡散することを想定していないので、
放射線、放射性物質の安全性・汚染を監督、検討する組織がない。
【諸外国の数値と国内規制】
WHOの基準値 (野菜) ヨウ素131 2.200Bq/Kg セシウム137 3,300Bq/Kg
日本の基準値 (野菜) 放射性ヨウ素 2,000Bq/Kg 放射性セシウム 500Bq/Kg
5.Media Literacy 「危険」「安全」を主張する倫理
【Media Literacyの要点】
損をする人、得をする人は誰か、報道による受益者を読み取る
過去のデータや調査・分析方法など報道されてないことを読み取る
【科学的な読解力】
安易な情報に惑わされず、問題にされている量や条件、人に当てはまるのかを考える。
発表された場に注目し、学術論文であれば信頼性は比較的高い。また他のものと比較する目を持つ。
【リスクとハザード】
放射性物質による発ガンリスクは、食事内容や生活習慣、喫煙等と同様にハザード(危険因子の一つ)と
考える。
【安全と危険の論理】
水や塩など体に必要なものであっても大量に摂取すると有害になる。
安全性は相対的な数値・基準でしかなく、個人差があり、固体差がある。
100%の安全はどこにもない。
6.身を守る方法/私たちに「できる」こと
科学的知見を有し、感情で判断しない。リスク・ベネフィットの冷静な判断をする。
それでも心配なら・・・元素が同属の特性を活かして食品中から除去する。
例:塩で煮込む。煮汁(セシウム・ヨウ素が溶出)を廃棄する。
《感想》
とてもたくさんの資料と最新情報、ユーモアを交え、2時間の授業では足らないくらいのあっという間の時間でした。
今もなお、風評被害でたくさんの方々が死活問題と戦っています。
冒頭に藤井先生がおっしゃった「野菜ソムリエとは自分で判断できる人だと思っています」
という言葉がとても心に残っています。
報道されていることが本当なのか、間違いないのかなど、
情報を発信していく野菜ソムリエとしての立場から、ちょっと疑ってみることも必要だと感じました。
最後になりましたが、被災した皆様へ心からのお見舞いを申し上げますとともに、
救助・救援に尽力されている皆様へ安全と一日も早い復興・復旧を心よりお祈り申し上げます。
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【レポート作成者】
野菜ソムリエ 渡邉 由紀


