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2013年1月

りんご新品種育成の方向 ~最新品種を味わいながら~

開催日時 :  2012年12月20日 14:00~16:00
場所      : 協会本部 渋谷A教室
講師名   : 「あおり24」生産利用研究会     会長 今智之さん
講座名    : りんご新品種育成の方向 ~最新品種を味わいながら~


今回の講師を務める今さんは、3月まで青森県産業技術センター 
りんご研究所品種開発部長を務められていた、
正に≪りんご博士≫
りんごの歴史、育種、品種について様々なお話をお聞きすることができました。

◆日本のりんご栽培の歴史
・育種の経過
  明治時代に海外から導入、本格的には昭和になってから育種開始。
  海外から導入した様々な品種を交配親として育種をした。
 ≪現在の主な品種の祖先≫
 ① 国光
 ② 紅玉
 ③ ゴールデンデリシャス
 ④ デリシャス
 ⑤ 印度(弘前生まれ)
     
この中から、日本人の嗜好にあった品種に改良。
(「ふじ」・「つがる」・「王林」は国内育種第一世代の品種)

昭和40年くらいまではりんごは作れば作るほど売れ、生産者の安定収入となっていた。
その後、みかんやバナナの人気に押され、価格が大暴落したこともあったそうです。

しかし、「ふじ」や「つがる」など国内で育成された品種の普及によって危機を乗り越え、
今や「ふじ」は世界一の生産量。
栽培歴2000年以上の歴史のあるヨーロッパより日本の品種育成レベルはかなり高く、
さらに様々な品種が育成されています。

◆育種の現状
国内育種第1世代品種の「ふじ」「つがる」「王林」を母木として利用し第2世代品種育成されている。
 極早生・・ 恋空、紅ロマン、シナノレッド 【8月中旬に収穫できる】
 早 生・・ 未希ライフ、きおう、シナノドルチェ、彩香
 中 生・・ 早生ふじ、トキ、シナノスイート、北紅、秋映
 晩 生・・ 星の金貨、シナノゴールド

●第2世代品種の特徴
・県内限定種
「秋田紅あかり」「シナノドルチェ」「緋のあずま(福島)」「秋星(石川)」など
・黄色品種の育成
「きおう」「トキ」
 ※黄色品種は葉を取らないで栽培できるので生産者は楽だが、
  りんご=赤のイメージが強いため、試食や説明しないと売りにくい。
・蜜入り黄色品種
「ぐんま名月」「こうこう」
・貯蔵性の高い晩生赤色品種
「春明21」(貯蔵障害の発生がまだ多い)
・赤肉品種
「紅の夢」(酸味が強いので加工中心)
・中国で高級りんごとして評価
「大紅栄」大きさと濃い赤い色が中国や台湾で高く評価されている
・小玉の丸かじりサイズ
「シナノピッコロ」
・褐変しにくい品種
「千雪」酸化防止剤を使わずカットりんごに利用できる
・病気に強い品種
「あかね」「さんさ」「彩香」 農薬が少なくてすむ

●今後のりんご育種の方向
・日本のりんごの食味は非常に高いレベルなのでこれを維持しつつ、
 栽培上、流通の欠点を改善した品種が必要。
・省力栽培向け品種
・「ふじ」より貯蔵性の高い赤色品種
・褐変しない品種
・香りのより品種
・皮が薄く丸かじりしやすい品種
・加工用に向く酸味のある品種 などの育成が必要。

※こぼれ話(貯蔵)
りんご生産量の50%の「ふじ」は11月―3月の販売時期では無袋栽培のもの、
4月―8月ではCA貯蔵された有袋栽培のものだそうです。
販売が3月と4月では味の変わり目を感じることができるそうです。
購入時に気にしてみてください。

◆りんごの育種法
りんごの果実の種を蒔いても同じ品種のりんごの木にはならない。
(例)
「ふじ」=「国光」の花に「デリシャス」の花粉を交配して得られた
「国光」の果実の種を蒔いて育てた596個体の実生の中から選抜された1本。

種をまいてから実がなるまで約10年かかり、
新しい品種が販売されるまでには25年以上かかるとのこと。
夢のある仕事であるが大変なご苦労と年月のかかることに感動です。

◆りんご5種類と加工品の食べ比べ
① りんごの食べ比べ
 
Photo

「あおり24」「あおり25」「千雪」「星の金貨」「春明21」の5種

Photo_2

「あおり24」は個人的に一番食べてみたかった品種。
美しい黄緑の外観と酸味の強さが特徴的。

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「千雪」はカット後も果肉が褐変しにくいのが一目両全。
写真左が「千雪」です。

「星の金貨」は果皮が薄くて丸かじり向き
「春明21」は果肉が硬めで甘い

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② ジュースの飲み比べ
  「紅玉」「あおり24」「千雪」
③ ジャムの食べ比べ 「あおり24」「紅玉」「彩香」
 それぞれのりんごの色や酸味、甘みの特徴が良く出ていました。

「あおり24」は青森県りんご試験場で24番目に選抜されたという意味で新品種
紅玉と比較して酸味も旨みも同等クラス以上に美味しいです。

甘いりんごが多い中、酸味のある美味しいリンゴのニーズはかなりあるはずだと思いました。
色も、きれいな黄緑色で、贈答にも向いていると思いました。
ただし、まだあまり流通されていないのが残念です。
今年の秋からは食べたい方に研究会から直接販売するそうです。
生活者の私たちにその味が広まればまた「ふじ」のように流通するかもしれませんね。

色々な種類のリンゴのお話を聞き、新種のリンゴの試食ができたとても有意義なVMCでした。

<レポート作成:アクティブ野菜ソムリエ 荒井 さなみ>
野菜・果物を通して、健康=しあわせ、幸せ=まず健康!をモットーに情報発信をしています。
今年度、青森県野菜ソムリエサポーターとして、弘前のリンゴ園に視察に行き、
りんご栽培の生産者さんにお話をお聞きできました。
『野菜・果物たちのおしゃべりを聞いてみよう』http://ameblo.jp/sole-mare-delfino/

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