調味料ラボ@福岡 今日から実践!"調味料"の選び方・使い方。vol.3しお編
開催日 ・・・ 2013年5月14日(火)13:30~15:30
講師 ・・・・・ 神谷禎恵さん(調味料マイスター、オフィスとうがらし代表)
場所 ・・・・・ 協会本部 福岡教室
外は五月晴れで恵まれた天気の中、
私は本日オフィスとうがらし代表、九州初の調味料マイスターである神谷さんの
講義を受けに参りました。
定刻付近になると席もほぼ満席になり、キャンセル待ちが発生するくらい
神谷さんの講義は人気で、たくさんの人が調味料に興味を持っているのだと思いました。
まずは塩や砂糖は人間が生きていくうえでは欠かせない調味料という話から始まり、
次にお家にどれくらいの砂糖の種類、塩の種類があるか書き出して見ましょう。
言われたまま紙に書き出してみると私の場合、
砂糖・・・上白糖、三温糖、角砂糖、黒糖、カラントS、蜂蜜
塩 ・・・食塩、やさしお、アジシオ、食卓塩、太古のロマン、
と意外と多くありました。そして何気なく料理で使い分けていたのだなと思いました。
そしていよいよ約20種類の塩を食べ比べた写真がこれです。
(写真1)
私なりに講義で学んだ知識も踏まえて1つ1つ紹介したと思います。
1)食塩: 海水を原料とし、立釜にて焚き上げる。幅広く使われている。辛い・・・
2)瀬戸のほんじお: 食塩と同じく海水を原料とし、立釜にて焚き上げる。
粒の大きさも塩分の濃度も食塩と同じだが、にがり成分が入っているため
甘くマイルドに感じる。
3)食卓塩: 海塩(天日塩)を原料とし、立釜で焚き上げる。
固結防止剤(炭酸マグネシウムや炭酸カルシウム)が入っているため、サラサラ。
その名の通り食卓にておかずにもう少し塩気がほしい時に便利。
4)伯方の塩: メキシコの天日海塩を原料として日本の海水で溶かし、立釜で焚き上げる。
非常に湿った塩でにがり分が残っているため、味に奥ゆきがでる。
5)粟国の塩: 海水を原料とし、平釜で焚き上げる。辛いが食塩と違い、辛味が勝つのではなく、
しっかりとした塩味が旨味と共に味わえる。値段は高価。
6)海の精: 海水を原料とし、ネットに海水を這わせて自然の風の力でネットの周りに
濃い塩水を作り、何度も循環させて海水を濃縮させて、平釜で焚き上げる。
時間がかかり手間もかかるため値段は高い。粟国の塩よりやや甘い。
7)雪塩: 海水を原料とし、噴霧乾燥加熱ドラムで瞬間的に結晶化させる。塩以外の
成分も多く入っており味もまろやかで非常に細かい結晶(パウダー状)でお菓子にも
よく使われる。
8)藻塩: 海水を原料とし、平釜で焚き上げ、焼成することによりサラサラに仕上がる。
海藻が混ざっているため塩自体が茶色で、味はまろやかで風味がよい。かけ塩に最適。
9)梅塩: 紀州産完熟梅ににがりを含んだ原塩に漬け込み、梅酢を作る。そしてその梅酢を
乾燥させたもの。口に含んだ瞬間梅の味がし、すっぱ辛い。同じくかけ塩に最適。
10)ゆず塩: 食品・香辛料入りの塩で、同じくかけ塩に最適。大分県宇佐市で採れた柚子を
使ったゆず塩は最高です。
11)ゲランドの塩: 海水を原料とし、塩田を循環させて太陽と風の力のみを使って結晶化させる。
海藻や砂も一緒にかきとるため他の食塩よりもやや茶色い。味はまろやか。
12)アルペンザルツ: 岩塩を原料とし、立釜で焚き上げる。食卓塩と同じく固結防止剤が
入っているためサラサラ。また、食卓塩と塩分濃度が一緒だがアルペンザルツは粒が
大きいため甘く感じる。
13)ピンクソルト: 岩塩を原料とし、採掘によって手に入れるため形は不定形で鉱物が
どうしても入る。ちなみにピンク色は酸化鉄である。また、硬く溶けにくいため容器に
グラインダーが付いており、砕きながら使用。
14)アジシオ: うま味成分であるグルタミン酸が添加されている。食卓塩と同様サラサラで、
もう少し塩気がほしい時に使用。
15~18は、福岡糸島半島の海藻の養分を多く含むうま味の濃い海水を原料とし、
枝条架(しじょうか)のような立体式塩田を使い、濃縮して繰り返し天日に干していく。
そして平釜で焚き上げる。
15)またいちの塩、花塩: トレミー塩、自然にできる結晶だが温度・湿度・かん水の濃度・
薪のくべ具合など全てうまくいかないと出来ない。塩の極薄い結晶が層になっているため、
岩塩のように硬くなく、指先でサクっと簡単に割れる。うま味の濃い塩でカリっとした食感と
柔らかな辛味が特徴。
16)またいちの塩、炊塩: にがりを若干残した状態なので精製塩より少ししっとりして、
口に含むと溶けやすく海のミネラルの美味しさをすぐに実感できるため、まずは塩おにぎりで。(調理塩)
17)またいちの塩、焼塩: またいちの塩を焼塩用の鉄釜に移し、焼き上げた極上の焼塩。
サラサラとしてうま味が濃く、きめ細かいやさしい辛さの塩で素材の味を引き出す力の
ある塩のため、卓上塩のように使用。
18)ハーブソルト: 食品・香辛料入りの塩で炊き塩を作る際、極少量できるフレーク状の
辛味の柔らかい塩とイタリア産のオーガニックハーブを掛け合わせたもの。
塩のうま味と軽やかなハーブの香りで、ハーブに慣れていない人でも使いやすい味わい。
かけ塩に最適。
1~18を食べた後にまた1を食べてみると本当に辛く、これが塩本来の辛味なのだということを学びました。
このようにたくさんの塩が調理と機能性によって使い分けられます。
しかし、現在の日本人の塩の一日の摂取量はまだ多く、目標値は一人当たり10.7g/日と
なっています。
さらに厚生労働省が目標値として定めている摂取量は食塩相当量で
・ 成人男性9g未満/日
・ 女性7.5g未満/日
(「日本人の食事摂取基準」2010年版より)
このうち塩そのものを摂取している量は1~2gで残りの大部分は醤油や味噌などの
調味料や加工食品に由来しています。
といっても実際に塩を量りながら摂取することは難しいため、参考までに、加工食品は
栄養成分表示がされていますが、食塩ではなくナトリウムと記載されていますので
ナトリウムから食塩と換算しなければなりません。
その換算式が、
ナトリウム(Na)量(mg) × 2.54 ÷ 1000 = 食塩相当量(g)
塩は百肴の将や塩にまつわる言葉といった日本人にはとても馴染みのあるものですが、
とり過ぎは心筋梗塞や動脈硬化などのリスクを高めるため普段から気をつける必要があります。
野菜を上手にたくさん摂取しましょう。
神谷さんには、さ・し・す・せ・そ に留まらず継続的にもっと教えていただきたいと思います。
皆さんも是非神谷さんの講座を参加してみて下さい!
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【レポート作成者】
アクティブ野菜ソムリエ・調味料ジュニアマイスター 近藤 真