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2017年2月

八百屋が教える「産地と食卓をつなぐ青果物の流通について」

●講座名:八百屋が教える「産地と食卓をつなぐ青果物の流通について」
●日時:2017年1月25日(水)19:00~20:00
●講師:永利 裕子さん 「九州やさい日和」代表、野菜ソムリエプロ
●場所:日本野菜ソムリエ協会 福岡教室

講師の永利裕子先生は、野菜ソムリエプロを取得して11年の経験豊富な野菜ソムリエプロで、他の人にはない感性と斬新な切り口で今までに6店舗もの八百屋を立ち上げて来られました。そのような永利先生が、青果物が産地から私たち生活者に届くまでにどのようにして届いているのか、青果物の等級や規格、市場の実際など経験談を元にご講義下さいました。

                         

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1,仕入れ
産地から店舗に届くまでのルートについて。①産地→店舗。②産地→産直商材卸売会社→店舗③産地→市場(地方・中央)→店舗。④産地→JA→市場(地方)→買受人→店舗。⑤産地→JA→市場(中央)→仲卸→店舗、の説明をして頂きました。驚いたのは、地方市場は8割がせりですが、中央市場は約8割が相対取引という事。東京大田市場は5分でせり(共撰)が終わる場合もあるそうです。
2,共撰と個撰、規格と等級
共撰の良いところは、生産者が個々に持ち寄ったものをまとめ、サイズや規格・等級ごとに分けるので、ほぼ同じ大きさや形のものが揃う。個撰の良いところは、個人が直接出荷したり、共撰の基準からはじかれたもので、安い・新鮮・面白いものが出る・旬のものが豊富。そして、箱には大事な情報が満載で秀・優・良で表示され、形、色、キズなど見た目によって決まるので、差を知りたい時は箱を見ると良いとの事でした。講義もこの辺りに来ると、永利先生の八百屋好き、八百屋は面白い!という思いがどんどん伝わって来ます。

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3,地方卸売市場あるある
ここのお話は実際に見て、経験してあるからこそ話せる内容が満載で、特に「仕入れ量の多い買受人と仲良くすること」では、他の買受人さんがたくさん買い占めた時や欲しい商材がせり落とせなかった時、仕入れ量が多い買受人さんと仲良くしておくと後で「仕方ないなー」と少し分けて貰える事があるそうです。まさに裏話ですね。講座参加者の皆さん、大笑いでした!
4,販売
青果物が店舗に納品されたら、生活者に届くまでに様々なルートがあります。例として①店舗→店頭→値付け・加工・陳列→接客・促販→生活者。②店舗→卸→生活者。③店舗→通販→生活者。一般的に1番生活者に身近なのは①です。店頭に届いてから、加工・値付け・陳列・POPという作業がありやっと私たち生活者の元に届きます。これらについても普段の経験談を交えながらのお話でとても分かりやすく、とても勉強になりました。

講義の中で1番印象深かったのは、「八百屋はほんの少しの利益の積み重ねで成り立っている。袋詰めする際に1箱から20袋取れたとして数袋分が利益。この1袋が八百屋ではどれだけ大事か。」というものでした。そして「お客さんに喜んで貰っても赤字では継続できない。計画を立てて進めていき、お客さんに喜んで貰いながら黒字になっている。win-winの関係がお客さんと築けていけたら。」と。
長年培われた経験がふんだんに盛り込まれた内容にプラスして永利先生の青果物や八百屋、お客さんと真摯に向かい合う姿勢がとても素敵で、魅力いっぱいの1時間半でした。
黒豆茶と手作りケーキまで頂き、永利先生ありがとうございました。第2弾も楽しみにしています。

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【レポート作成者】園田 裕子 野菜ソムリエプロ、管理栄養士
現在JR九州ファーム八百屋の九ちゃんで九州の旬野菜・果物の販売に携わる傍ら、旬の野菜・果物の魅力を伝えるレシピ作成や行政の市民企画講座で講義、料理教室講師を務める。

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