【福岡】そうだったのか!輸入果物が国内に出るまでの仕組み
~植物検疫検査と残留農薬検査~
●日時:2011年8月3日(水)19:00~21:00
●講師:石戸谷 学 先生
「日本フード&ソウル協会」代表
日本野菜ソムリエ協会 野菜ソムリエ養成講座講師 食育マイスター養成講座講師
財団法人日本余暇文化振興会監修・認定健康食育マスター講座講師
野菜ソムリエ ごはんソムリエ
●場所:協会本部福岡教室
1. プロローグ
日本人が一番食べている輸入果物はバナナである。
2010年の輸入生鮮果物の約6割がバナナです。
よってバナナの背景を知ることで、輸入生鮮果物の仕組みや流通がわかります。
客観的に捉え正しい知識を伝えていくことが重要です。
2. 講座の目的と目指す成果
【目的】
・輸入果物が日本国内に入るまでの手順を知る
・バナナについての知識を高める
・輸入果物の現状について知る
【成果】
・輸入果物に関して正しい知識を持って他者に話ができるようになる
3. 日本に輸入されてから国内に出てくるまで、どのような手続きや検査を受けているか。
(実際の輸入果物がフィリピンから国内に出るまでの写真を見ながら説明)
フィリピンから到着した船は、クレーンで荷卸しをし、ベルトコンベアで移送。
船内にある輸入果物(7万~8万ケースのバナナとパイナップル)は、船倉が層になっており階層で分けることで保存状態を保っている。
・バナナは13~15℃に保たれている階層
・パイナップルは8~10℃に保たれている階層
植物防疫法により、緑色をした未熟な状態のバナナのみが陸揚げを許可されている。
陸揚げされたものは保税蔵置場で保管し、各種検査を合格したものだけが市場へ出る。
バナナは加工業者によって室(ムロ)に入れられエチレンガスによる追熟加工が
4~5日かけて行われる。その後出荷となる。
4. 仕組み
<陸揚げ>
●保税蔵置場(財務省)
・輸入許可がおりるまでに陸揚げされたものを保管する場所
<検査>
●輸入植物検疫検査(農林水産省)
・目的:海外からの病害虫の侵入を防ぐため
・種類:人・動物・植物・食品など
・輸入国の土壌が付着している場合は輸入できない(強制力あり)
●残留農薬検査(厚生労働省)
・目的:輸入食品の安全性の確保
・食品衛生法に基づき残留農薬、食品添加物、病原菌などの検査(基本的には書類による審査。検査の必要と判断されたもののみ検査を実施)
・検査には、輸入許可の後に行われる「モニタリング検査」と貨物が流通する前に行われる「命令検査」との2つがある
・モニタリング検査→食品衛生法違反の可能性の低いもの(市場に出回っているもの)を対象に税金を使用し、計画的にサンプリングし検査するもの。違反時は回収・破棄または返送となる。
・命令検査→はじめての輸入品や過去に違反のあるものなどを市場に出回る前に検査。
検査にかかる費用は輸入者が負担。違反時は破棄または返送、検査の合格ラインが低い他国に輸送する場合もある
●通関検査(財務省)
・目的:円滑で安全な貿易が行われるように監視。違法な輸入貨物(麻薬・拳銃など)や輸入禁止貨物(絶滅危惧種など)の密輸を防ぐ。
・書類の提出と関税を収め、輸入の許可を得るまでの一連の手続きを通関という。通関手続きが合格したら、国内への流通が可能となる。
5. 消毒(燻蒸)について
輸入植物検査によって検疫病害虫が発見された場合、不合格となり消毒が実施される。
代表的なものに【燻蒸】(くんじょう)といわれる消毒がある。燻蒸を行った輸入果物は、店頭では見分けることが出来ない。もし有機農産物(JAS)に燻蒸をした場合は「輸入有機農産物」として売ることは禁止されている。
6. ポストハーベスト農薬について
収穫後に農産物に使用する農薬のこと。倉庫や輸送中のカビ・虫の発生、繁殖を防ぐ目的にポストハーベスト農薬は使われている。食品添加物として【防カビ剤・防バイ剤】と表示されている。原則として日本国内ではポストハーベスト農薬の使用は禁止されているが、近々日本でもりんご、もも、びわ、あんず、おうとう、キウィー、ざくろ、すもも等11種類の作物への使用認可が下りる可能性があるという話がある。
7. 知れば得をする関税
・特恵関税:発展途上国の支援のため、低い税率を適用している。
・季節関税:輸入される時期によって税率が変化する関税のこと。目的は、国内農産物が旬の時は高い税率を課すことで国内産の保護と、その他の季節は低い税率で消費者のニーズに応えるもの。これを知っておくとお得。
<代表的なバナナの季節関税>
4月~9月は20%、10月~3月は25%
<フィリピン産バナナの季節関税>
4月~9月は8%、10月~3月は18%
※FTA/EPAの締結をした国や地域からの輸入品は基本よりも低い関税率となる。
8. レインフォレストアライアンスについて
森林伐採や環境破壊の主な要因となる材木生産、農地拡大、牧場運営、観光業などに歯止めをかけるため、発足した非営利環境保護団体。
私たちが食べていている輸入食品は、もしかしたら児童奴隷が関わることがあるので、知っていて欲しいとマークの紹介がありました。
このマークのある商品は生物多様性だけでなく、農民や農園で働く労働者や子供たちの権利や社会的境遇を守る基準を満たすものであり、消費者がこれらの認証マークの付いた商品を購入することで、環境を保護し、持続可能な開発を支えことができることを証明しています。身近なものには紅茶(リプトン)やコーヒー(UCC)などに表記あり。
9. エピローグ
日本人の果物消費が伸び悩んでいます。昔から「水菓子」として親しまれてきた果物は、特に若い世代を中心に敬遠されてきています。その理由に、洗う手間がかかる、皮をむくのが【メンドッチイ】素手で食べるのが【バッチイ】料理に果物が入っているのは【キモイ】と、三つの「イ」があります。
果物よりも魅力あるお菓子が沢山売られている現代社会は、手軽さや便利さを求め果物をとる必然性が薄らいできているように思います。果物は他の嗜好品にはない栄養素と機能性成分が含まれています。
また、果物の皮に付着している白い粉が植物性のワックスだということを知らない消費者もまだまだ多くいます。
こんな現状を変えより多くの消費者に対して、果物を摂る良さ発信してほしい。また、輸入果物にも興味を持ってもらいたい。
<感想>
写真を見ながら輸入生鮮物が市場に出るまでの一連の流れを詳しく知ることが出来ました。先生の講座はクイズや合間の話など楽しく、分かりやすく、いつもその語り口に引き込まれます。
私たちがバナナや輸入農産物を食べる際に、食べものがやってきた経緯や背景に思いをはせるということは食育の観点からも重要です。ただ食べるだけでなく、知って食べることや買うことは大きな違いがあります。今回学んだことを活かし、輸入果物の魅力を一般生活者へ客観的かつ正確に伝えていきたいと思います。
レポート作成者 : 草田成慧(食育マイスター・ジュニア野菜ソムリエ)




































